2017.10.05更新

日本人の保有資産で、不動産はかなりの部分を占めていると言われています。

戦後の持ち家志向が影響しているのかもしれません。

典型的なケースでは、自宅と預貯金及び現金が遺産になります。

 

昨今の相続税の改正で、名古屋市内の一般的なご家庭でも相続税がかかる微妙なラインの方が増えています。

相続税を申告しないといけないのか。

自分で計算すると、相続税がかからないから申告自体はいらないのか。

特例等を利用して相続税がかからない計算になる場合は、申告は必要なケースもありますので、ご注意下さい。

 

さて本題です。

特に相続人でもめていないので、自分たちで手続きをすべてしようと考える方もいると思います。

その場合、手順としては、おおむね以下のとおりです。

※遺言がない場合の手続きです。遺言の手続きは別の機会でお話しします。

①相続人の調査

②遺産の調査

③遺産の分け方の決定

④必要書類の作成

⑤管轄法務局への登記申請

 

ます①についてです。

最初に、誰が民法上の相続人に該当するか否かを検討します。

日本は戸籍制度がありますから、相続人を判断するための血縁関係を戸籍で調べます。

具体的には、亡くなった方(以下、「被相続人」といいます)の生まれてから亡くなるまでの戸籍一式(除籍、改製原戸籍など)全てを取得します。

この戸籍一式で相続人が特定できる内容であれば、あとは相続人の現在戸籍を取得します。

この現在戸籍で相続人が生きている証明になります。

被相続人より先に亡くなっていたり、被相続人が亡くなった後に相続人がなくなってる場合(遺産分割をしない状態で亡くなり、その後に遺産分割をする場合)は、上記趣旨に沿って、別途戸籍の調査が必要ですが、今回は割愛させて頂きます。少しややこしいのでまた別の機会でお話しします。

 

ケースによっては、この段階で知らなかった戸籍上の相続人が発覚することもあります。

例えば、先妻さんや後妻さんとの子や認知された子など。

 

何はともあれ、無事相続人が特定できたら次は、②の財産の範囲と評価の調査です。

不動産であれば、固定資産税の課税明細書や登記簿謄本で所有者を確認します。

預貯金であれば、通帳や取引履歴、残高証明書などで金額を確認します。

車は車検証の所有者欄を確認します(マイカーローンがある場合で、使用者に被相続人で所有者にディーラーさんが記載されているときは、被相続人の方の遺産に入りません。)。

保険であれば、保険証券などで確認します。

その他遺産は、各種証明書や自宅や亡くなった後に届く郵便物、生前の話をもとに、関係機関に問い合わせるなどして確認をします。

 

注意すべきは、被相続人の債務(借金)です。

一般的に相続というとプラスの財産=資産のようなものをイメージしますが、法律上は、相続するとはマイナスの財産(借金)も含めたものを言います。

だから、欲しいものだけ相続したいということはできません。なお、相続人の間でほしい財産を分け合うこと(いわゆる遺産分割)は可能です。その場合でも、借金を債権者の同意なく勝手に決めることはできません。もし、それが許されれば、相続人のうち資産のない人に借金を相続させた場合、債権者は払ってもらえず困ってしまいますので。

もし、この段階で、相続をすると損をしてしまうことが分かった場合(例えば、プラスの財産より借金の方が多い場合など)、相続人をやめることができます。これを「相続放棄」と言います。これは、家庭裁判所に申し立てをして手続きする必要があります。しかも、期限があり、基本的には被相続人が亡くなってから3カ月以内にするよう必要があります。

 

問題なく、相続できる場合は、遺産を確認して、次にその評価額を調べます。

これは、遺産分割をする際の参考としても使えますが、相続税の発生の有無を調べるためでもあります。

預貯金や現金は、数字そのものが評価額ですが、不動産は評価方法がいろいろあります。

不動産会社の査定書、不動産鑑定士さんの査定書、固定資産税の評価額、路線価、地価公示価格など。

遺産分割の際は、家庭裁判所で遺産分割調停をする場合は、固定資産税の評価額が採用されることが多いようです。

ただし、自分たちだけで遺産分割をする場合は別にどれを採用しても構いません。相続人が納得していれば。

相続税上の評価額は、建物は固定資産税の評価額、土地は路線価(路線価がない地域は倍率方式で別途計算)が原則です。

ここから、さらに地形や利用状況に応じて、評価額を減額できます。

自宅や事業用の土地は、小規模宅地の特例により評価額を80%減らせる可能性もあります。

 

なお、今回は不動産についての相続手続きの話をしていますが、上記①~④は相続一般の話なので、どの遺産の相続手続きにも共通する部分です。あとは、後述予定③④の遺産分割協議書でその遺産の分け方を決めるか否かの問題です。それぞれの遺産の管轄先に相続手続きをするだけの違い、つまり⑤の提出先が違うだけになります。例えば、預金は⑤が該当する銀行に、車は⑤が該当する運輸局になるだけです。

 

以上、遺産をもらうべき相続人が確定し、遺産の範囲と評価も決まれば、次はいよいよ誰が何をもらうのか、具体的な分け方の話に入ります。

次回続きは、③からお話をします。

 

平成29年10月5日