近年、遺言書の作成が増えているようですが、実際は作らないといけないのでしょうか。
ケースバイケースですが、遺言の一つメリットとして遺言執行者を定めることができる点があります。
遺言執行者とは、遺言の内容を実行する人です。
どのような権限を与えるかは、遺言で定めることもできますが、一般的には、例えば、預金の解約払い戻し、相続不動産を売却して代金を相続人に分けるなどです。
この遺言執行者は、定めても定めなくでも構いません。
しかし、定めることであるメリットが生まれます。
それは、遺言の内容を確実に実行してくれる点です。
どういうことかと言いますと、遺言を書いたとしても、相続人全員の合意で遺産分割協議を行い、遺産の分け方を相続人で決めてしまうことも実務上行われているのです。
そうなると、亡くなった遺言者の想いとは違った遺産相続も起こりえるのです。
しかし、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意がなければ、そのようなことはできません。
相続問題は、相続税も含めて、多面的に解決を図る必要があります。
もしかすると、遺言書の作成がベストではないこともあり得ます。
生前に贈与する方法、生命保険の活用、一般社団法人の活用、遺留分の考慮、家族信託の活用など、まさに知識や情報を結集してベストの解決策を見つけることが必要です。
とはいっても、何をするにも根底にあるのは、法律問題です。
どんなに優れた相続税対策をしても、相続人が一枚岩になっていなければ、すべての計画は白紙になることだって十分あります。
法定相続分や遺留分は相続人に認めれたものなので、そこを忘れないようにしなくてはいけません。
人の考え方は、年齢を重ね、生活環境が変われば変化するものです。
残念な結果に終わる場面を、亡くなった後に目にするのは切ないものです。
遺言書と言っても、結構奥が深く、解決方法にいろいろな広がりがあるかもしれません。
平成29年12月30日