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相続不動産の売却準備|名義変更と空き家特例を名古屋の司法書士が解説

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相続不動産をスムーズに売却するための2つの事前準備|名義変更と空き家特例【名古屋のごとう相続手続き相談センター】

相続不動産売却の注意点ー名義と時期に気を付けて円滑でお得な売却を!

相続にまつわる気になるトピックや手続きのポイントを、名古屋の司法書士・宅地建物取引士の視点でわかりやすくお届けしています。気になる記事がございましたら、ぜひお手続きの参考になさってください。

親から実家を相続したものの、自分が住む予定はなく、人に貸すには大がかりなリフォームが必要……。そんなとき、有力な選択肢になるのが「売却」です。

実際、相続した不動産が空き家のままになっている場合、売却は固定資産税や管理の負担から解放される有効な活用方法です。空き家は放置すると傷みが進んで資産価値が下がるうえ、管理が不十分なまま「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1への減額)が外れて税負担が跳ね上がるおそれもあります。

しかし、相続不動産は「売ろう」と思い立っても、すぐに売れるとは限りません。売却の前に整えておくべき準備があるからです。準備を知らずに動き出すと、売却が何か月も止まってしまったり、使えたはずの税金の特例を逃して数百万円単位で損をしたりすることもあります。

 

そこで今回は、司法書士と宅地建物取引士の両方の資格を持つ名古屋の専門家が、相続不動産の売却前に必ず確認しておきたい2つの事前準備をご紹介します。

準備1:名義変更(相続登記)を済ませる―被相続人名義のままでは売却できない

その相続不動産、今すぐ売却できる状態になっていますか?

相続不動産の売却準備―名義変更と税金の特例を押さえて、スムーズで有利な売却を

準備1:名義変更(相続登記)を済ませる―被相続人名義のままでは売却できない

不動産は、亡くなった方(被相続人)の名義のままでは売却できません。

所有権そのものは、相続が発生した瞬間に相続人へ自動的に引き継がれます。遺産分割協議をしていなければ、相続人全員が法定相続分の割合で共有している状態です。遺産分割協議はいつでもできますが、何もしなければ法定相続分のままです。

しかし、買主の立場で考えてみてください。「自分たちが相続人だから権利がある」と口頭で説明されても、それを公的に確認できなければ、安心して高額な売買契約を結ぶことはできません。不動産取引では、登記によって売主が正当な所有者であることを示すのが大前提なのです。

権利が自動的に移っても、法務局で管理されている登記名義は連動して書き換わりません。相続人自身が相続登記を申請して、名義を変更する必要があります。

また、登記手続き上、いわゆる中間省略登記は認められていません。登記制度は、時系列に沿った正確な権利関係を公示することで取引の安全を守る仕組みだからです。被相続人名義からいきなり買主名義へ移すことはできず、「被相続人→相続人→買主」と、実際の権利の流れに沿った登記を順番に行うことになります。生前贈与で不動産を譲り受けたまま登記をしていなかった場合も同様で、贈与による名義変更を済ませてからでなければ、売買による所有権移転登記はできません。

2024年4月から相続登記は「義務」になりました

さらに重要なのが、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されたことです。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。義務化は2024年4月より前に発生した相続にも適用されるため、「親の代から名義がそのまま」という不動産も例外ではありません。「売るときにまとめて登記すればいい」という先送りは、法律上もできなくなりました。

相続人が複数いる場合は「誰の名義で売るか」も決めておく

相続人が複数いる場合、遺産分割協議をしないまま法定相続分の共有で売却するには、相続人全員が売主として契約・決済に関与しなければなりません。一人でも売却に反対する方や連絡の取れない方がいると、売却そのものが進まなくなります。

実務では、遺産分割協議で「不動産を売却して代金を分ける」方針(いわゆる換価分割)を決めたうえで、代表者の名義に相続登記をしてから売却する方法もよく使われます。誰の名義で登記して売るかは、手間だけでなく税金の取り扱いにも影響しますので、方針を決める段階で専門家に相談しておくと安心です。

相続登記にかかる期間と費用の目安

相続登記には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍一式、相続人全員の戸籍や印鑑証明書、固定資産評価証明書などの収集に加え、遺産分割協議書の作成が必要です。本籍地を何度も移している方や相続人の多いご家庭では、書類集めだけで1〜2か月かかることも珍しくありません。

費用面では、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%。評価額2,000万円の不動産なら8万円)と、司法書士へ依頼する場合の報酬がかかります。「売りたい」と思ってから慌てて登記を始めると、せっかくの売り時や買主を逃しかねません。売却を視野に入れた時点で、逆算して早めに着手しましょう。

名義変更の放置が招く最悪のケース―認知症と成年後見

先送りのリスクは過料だけではありません。たとえば、贈与の口約束だけで名義変更をしないでいるうちに元の所有者が認知症になってしまうと、ご本人に判断能力がないため、贈与も売却も成立しなくなります。勝手に書類を作って申請すれば、偽造として罪に問われかねません。

こうなると、家庭裁判所に成年後見人等の選任を申し立て、後見人等を通じて売却するほかありません。申立てには手間と費用がかかり、選任後も自宅(居住用不動産)の売却には家庭裁判所の許可が必要になるなど、実際の売却までには相当な時間を要します。すぐに売却資金が必要なときには、特に大きな痛手となるでしょう。

なお、相続人の中に海外在住の方や外国籍の方がいらっしゃる場合は、印鑑証明書の代わりに署名証明書(サイン証明)を取得したり、本国の身分関係書類を取り寄せて翻訳を付けたりする必要があり、名義変更の準備に通常より時間がかかります。渉外相続(国際相続)の取り扱い経験が豊富な専門家へ、早めにご相談ください。

 

相続や贈与で権利が動いたら、その都度すみやかに登記名義を変更しておくこと。これがスムーズな売却への一番の近道です。

準備2:空き家特例(3,000万円特別控除)の適用可否を確認する

 

不動産を売却して利益が出ると、その利益は「譲渡所得」として所得税・住民税の課税対象になります。そこで売却前に確認しておきたいのが、相続した空き家の売却で使える「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、いわゆる空き家特例です。

この特例が適用できると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。売却による利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得への課税は実質的にゼロになる、効果の非常に大きい特例です。

対象となる家屋(被相続人居住用家屋)の主な要件

 

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建物登記がされている建物(分譲マンション等)でないこと
  • 相続開始の直前に、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと

特例を受けるための主な条件

 

  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 家屋を耐震基準に適合させて売るか、取り壊して敷地のみを売ること(2024年1月以降の譲渡では、売却した翌年2月15日までに買主側で耐震改修または取壊しを行う場合も適用可能になりました)
  • 相続から売却まで、事業・貸付け・居住の用に供していないこと
  • 譲渡所得について他の特例の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦など特別な関係にある人への売却でないこと

税制改正により、この特例の適用期限は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡に延長されています。一方で、2024年1月1日以後の譲渡では、対象の家屋・敷地を相続した相続人が3人以上いる場合、控除額が1人あたり最高2,000万円に引き下げられている点にご注意ください。

計算例―特例の有無で税負担は400万円以上変わることも

 

昭和55年建築の実家を相続し、家屋を取り壊して敷地を2,500万円で売却したケースで考えてみましょう。先祖代々の土地で取得費が分からない場合、取得費は売却代金の5%(125万円)で計算します。取壊し費用や仲介手数料などの譲渡費用が290万円かかったとすると、譲渡所得は2,500万円−125万円−290万円=2,085万円です。

特例が使えなければ、長期譲渡所得として約20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)、およそ423万円の税負担になります。空き家特例が適用できれば、2,085万円は3,000万円の控除枠に収まるため課税対象は0円。適用の有無で400万円以上の差が生じる計算です。

なお、特例を使って税額がゼロになる場合でも確定申告は必要です。申告には、家屋所在地の市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」の添付が求められ、発行までに時間がかかることもあるため、売却後は早めに準備しましょう。

このように要件が細かく、「いったん人に貸してしまったら使えない」「3年の期限を過ぎたら使えない」など、売却のタイミングや空き家の扱いひとつで税負担が数百万円単位で変わることもあります。売却を考え始めた段階で適用の可能性を確認し、具体的な可否は税理士や税務署にも確認しながら、逆算して売却計画を立てることをおすすめします。

まとめ

今回は、名古屋の司法書士・宅地建物取引士が、相続不動産をスムーズに売却するための2つの事前準備をご紹介しました。

1つ目は「名義」の準備です。相続登記を済ませなければ売却はできず、2024年4月からは登記そのものが義務になりました。戸籍収集や遺産分割協議には時間がかかるため、売却を考えた時点で早めの着手が肝心です。

2つ目は「税金」の準備です。空き家特例が使えるかどうかで、売却後に手元へ残る金額が数百万円単位で変わります。3年という期限と「貸したら使えない」という落とし穴を意識して、売却計画を立てましょう。

 

当センターは、司法書士事務所と不動産事務所を併設しているため、相続登記から売却活動、決済・引渡しまでワンストップでサポートできるのが強みです。「相続した不動産を最適な形で売却したい」とお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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