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不動産管理会社の設立で相続対策|メリットと注意点を名古屋の司法書士が解説

相続に関する気になるトピックや情報を配信しています。ご興味のある記事がございましたら、ご参考にしてみて下さい。

不動産の相続に「管理会社」を活用する方法|毎年の所得税と将来の相続税、両方に効く一手です

賃貸不動産を複数お持ちの方へ。法人化のしくみとメリット・注意点を、事例を交えて解説します。

アパートや貸家、駐車場など、複数の賃貸不動産をお持ちのオーナーさまには、共通する悩みがあります。毎年の家賃収入に高い所得税がかかり続けること。そして、その家賃収入が積み上がることで、将来の相続税もふくらみ続けることです。稼げば稼ぐほど、個人に「税金の種」がたまっていく構造といえます。

たとえば、名古屋市内に賃貸物件を持ち、年間1,200万円の家賃収入があるオーナーさま。給与や年金と合わせると所得税・住民税の税率は最高55%の水準に達し、手元に残ったお金も、将来はそのまま相続税の課税対象になります。この構造を変える手段として古くから使われてきたのが、ご家族を役員とする不動産管理会社の設立です。

 

このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、不動産管理会社を使った相続対策のしくみと3つのメリット、そして見落とされがちなデメリット・注意点を、はじめての方にも分かるように解説します。会社設立の登記は司法書士の専門分野。だからこそお伝えできる実務目線でご案内します。

1 不動産管理会社設立のメリット|「分ける・増やさない・備える」の3つの効果

まずは「会社に何をさせるのか」。3つの方式を知ると全体像がつかめます。

典型的なモデルケースでイメージをつかみましょう。名古屋市内にアパート2棟と貸家をお持ちの70代のオーナーさまが、毎年の確定申告のたびに高額な納税に頭を悩ませ、「このままでは子どもたちに相続税の苦労をかける」と感じている。そこでお子さま2人を役員とする管理会社を設立し、管理料と役員給与のかたちで収益の流れを組み替える。すると、世帯全体の税負担が軽くなるだけでなく、お子さまたちが賃貸経営に関わるきっかけが生まれ、相続の「予行演習」にもなる。管理会社の活用とは、このような対策です。

 

不動産管理会社とは、このようにオーナーさまご自身やご家族が株主・役員となって設立する会社で、賃貸不動産の管理や運営を担わせるものです。活用のかたちは大きく3つあります。第一に、会社が物件の管理業務を請け負い管理料を受け取る管理委託方式。第二に、会社がオーナーから物件を一括で借り上げて入居者に転貸するサブリース方式。第三に、建物などの収益物件そのものを会社に移してしまう不動産所有方式です。後になるほど会社に移る収益が大きくなり、対策の効果も、導入の手間とコストも大きくなります。まずはこの全体像を頭に置いて、3つのメリットを見ていきましょう。

1-1 所得税対策になる!|累進課税の高い税率を家族に分散する

一人に集中した高い税率を、家族みんなの低い税率に組み替えます。

個人の所得税は、所得が大きいほど税率が上がる超累進課税で、住民税と合わせた最高税率は55%にもなります。家賃収入がオーナーさま一人に集中している状態は、いちばん高い税率で毎年課税され続ける、税務上もっとも不利な形なのです。

管理会社を設立すると、会社に支払う管理料やサブリース料が個人の不動産所得から差し引かれ、会社に移った利益は、役員となった配偶者やお子さまへの給与として分配できます。一人で1,200万円の所得に高税率で課税されるより、家族3人に分散してそれぞれ低い税率で課税されるほうが、世帯全体の税負担は軽くなります。さらに、給与を受け取るご家族には給与所得控除という概算経費が認められるため、同じ金額を移しても課税対象は一回り小さくなります。

効果のイメージを、ごく単純化した概算で見てみましょう。課税所得1,200万円が一人に集中している場合、所得税・住民税は年およそ360万円。同じ所得を400万円ずつ3人に分散できれば合計およそ230万円となり、その差は年130万円にもなります(各種控除を考慮しない概算です)。実際には給与所得控除も効くため、効果はさらに大きくなる余地があり、これが10年続けば1,000万円を超える差になります。毎年続く対策だからこそ、始める時期が早いほど累積効果が大きいのです。

 

ただし注意点もあります。管理の実態に見合わない過大な管理料は、税務調査で否認されるリスクがあります。管理委託方式なら家賃の5〜8%程度、サブリース方式でも10〜15%程度が一つの目安とされ、「とにかく高く払えば節税になる」わけではありません。ご家族への給与も同じで、勤務の実態がないのに高額な役員報酬を払えば否認の対象になります。清掃や入居者対応、帳簿管理など、実際に担う業務を決めて記録を残すこと。実態のある業務と適正な対価、これが法人化の大前提です。

1-2 相続財産の肥大化を防止することができる!|家賃の蓄積先を個人から法人へ

「これ以上、個人の財産を増やさない」ことも立派な相続対策です。

相続税対策というと「今ある財産を減らすこと」を考えがちですが、賃貸オーナーさまの場合、まず止めるべきは財産が毎年増え続ける流れのほうです。家賃収入が個人の口座にたまり続ける限り、相続財産は膨らみ、相続税も増えていきます。

管理会社を通せば、家賃収入の一部は会社の売上となり、役員給与としてご家族に流れます。つまり、将来相続する側であるお子さまたちに、贈与ではなく「働いた対価」として財産が移っていくのです。給与としての移転には贈与税がかからず、暦年贈与のような相続開始前7年分の持ち戻し(生前贈与加算)の心配もありません。時間をかけるほど効果が積み上がる、じわりと効く対策です。

 

一方で、新しい財産が生まれることも忘れてはいけません。会社の株式です。会社に利益がたまれば株価が上がり、オーナーさまが株式を持ったままでは、不動産の代わりに株式が相続財産になってしまいます。設立時から出資者をお子さま中心にしておくなど、株主構成の設計が重要です。なお、かつては「株式のない一般社団法人を使えば相続税を回避できる」といわれた時期もありましたが、平成30年度の税制改正で同族経営の一般社団法人には相続税が課される仕組みが導入されており、この抜け道はすでに封じられています。古い情報にはご注意ください。

1-3 相続税の納税資金の準備をすることができる!|「払える相続」をつくる

相続税は原則現金一括納付。不動産持ちほど「納税資金」が課題になります。

不動産をたくさんお持ちの方の相続で本当に困るのは、税額の大きさそのものより、納税資金の不足です。相続税は原則として10か月以内の現金一括納付。財産の大半が不動産だと、税金を払うために急いで不動産を売る事態になりかねません。急いで売る不動産は、足元を見られて安くなりがちです。「相続税のために先祖代々の土地を叩き売る」事態こそ、賃貸オーナー家の相続で最も避けたい結末でしょう。

 

管理会社は、この問題への備えにもなります。役員給与として長年ご家族に移してきた資金は、そのまま将来の納税資金の積み立てになります。また、会社を契約者とする生命保険に加入したり、オーナーさまに万一のことがあった際に会社から死亡退職金を支払う設計にしておけば、相続のタイミングでまとまった資金を用意できます。死亡退職金には相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が別枠で用意されており、受け取り方としても有利です。「税額を減らす」と「払える形をつくる」。この両輪がそろってはじめて、安心できる相続対策になります。

2 不動産管理会社設立のデメリット|費用・社会保険・手間。効果が出る規模を見極める

法人化は「作れば得」ではありません。コストを上回る規模かどうかが分かれ目です。

メリットの大きい管理会社ですが、コストと手間も確実に発生します。まず設立費用。株式会社なら定款認証と登録免許税で25〜30万円程度、合同会社なら10万円程度が目安です。設立後は、たとえ赤字でも法人住民税の均等割が年7万円程度かかり、法人の決算・申告のための税理士報酬も継続的に必要になります。

人の面では、役員報酬を支払えば社会保険への加入義務が生じ、会社負担分の保険料が発生します。給与計算や帳簿付けといった経理事務も、個人の確定申告よりずっと手間がかかります。また、不動産所有方式で建物を会社に移す場合には、所有権移転登記の登録免許税(評価額の1000分の20)や不動産取得税、場合によっては譲渡所得税といった移転コストがかかるため、どの物件を移すか、そもそも移すべきかの試算が欠かせません。

目安として、家賃収入がおおむね1,000万円を超え、ご家族に給与を分配できる体制があるなら、コストを払っても効果が上回る可能性が高いといえます。逆に、物件が少なく利益も小さいうちは、維持費倒れになることも。また、相続の直前に慌てて設立しても効果は限られます。法人化は、時間を味方につける対策です。

 

もうひとつ、出口のことも考えておきましょう。一度設立した会社は、たたむ(解散・清算する)にも登記と手続きが必要で、費用もかかります。将来物件を売却して賃貸経営を縮小する可能性があるなら、会社に移す物件を絞る、管理委託方式から小さく始めるなど、後戻りしやすい設計にしておくことが賢明です。「大きく始めて後悔する」より「小さく始めて育てる」が、法人化の失敗しない鉄則です。

最後に|設立登記から不動産の名義変更まで、司法書士がワンストップで

手間はかかります。しかしその手間に見合う効果を、設計次第で出せる対策です。

不動産管理会社の設立は、所得の分散・相続財産の肥大化防止・納税資金の準備という3つの効果を同時に狙える、賃貸オーナーさまならではの相続対策です。しかも、ご家族が役員として賃貸経営に関わることで、経営のノウハウと財産への当事者意識が次の世代に引き継がれていく。数字にあらわれないこの効果こそ、管理会社という仕組みの本当の価値かもしれません。その一方で、設立や維持のコスト、社会保険、管理料の適正性など、押さえるべき論点も多く、「どの方式で、誰を株主・役員にして、どの物件を任せるか」という設計の巧拙が、効果を大きく左右します。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、管理会社の設立登記から不動産を会社へ移す際の所有権移転登記、そして将来の相続登記まで、法人化に必要な登記手続きをワンストップでお手伝いしています。税額の詳細な試算は提携税理士と連携し、宅地建物取引士として物件の収益性や売却との比較という不動産目線のご提案も可能です。賃貸経営と相続に心配のある方は、この機会に一度、法人化という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

 

▶「うちの規模で法人化は得?」という試算のご相談から。

名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。税制や社会保険の取扱いは改正される場合があり、法人化の有利不利は個別の状況によって異なりますので、実際のご検討にあたっては司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

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