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擁壁や高低差のある土地を相続したら?売却と建替えの注意点を名古屋で解説

実家の下の「壁」のお話|土地を支えているものを、見たことがありますか

 

登記簿には載らないのに、価値と責任を左右する。それが擁壁です。

坂の多い町の実家、ひな壇造成の分譲地、庭の奥が一段高くなっている土地。高低差のある土地には、土を支える「擁壁」があります。コンクリートの壁、昔ながらの石積み、ブロックを重ねたもの——普段は気に留めない構造物ですが、相続のときだけは別です。擁壁は登記簿に載りません。それなのに、その土地が安全に使えるか、建て替えられるか、いくらで売れるかを、静かに、しかし決定的に左右するからです。

しかも、古い擁壁には「いつ、誰が、どんな基準でつくったのか」の記録が残っていないことが珍しくありません。記録のない擁壁は、建て替えのときに「安全が確認できない」と扱われ、やり直しに数百万円かかることもあります。一方で、ひびやはらみを放置した擁壁が崩れて隣家に損害を与えれば、賠償責任は所有者に向かいます。このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、擁壁や高低差のある土地を相続したときに最初に調べるべきこと、がけ条例や盛土規制法との関係、売却の値付けの考え方までを、実例を交えてご説明します。

1 擁壁の基本|登記に載らない構造物が、相続で問題になる理由

 

名義と一緒に、壁の管理責任も引き継ぎます。まずは記録と現物の確認から。

擁壁とは、高低差のある土地の土が崩れないように支える壁のことです。鉄筋コンクリート造のもの、間知ブロックを積んだもの、大谷石などの石積み、そしてブロック塀を土留め代わりにしたもの——見た目はさまざまですが、法律上の扱いには大きな差があります。一定の高さを超える擁壁をつくるには、宅地造成の規制や建築基準法に基づく手続きが必要で、きちんと手続きを踏んだ擁壁には、役所に記録が残っています。逆に言えば、昭和の時代に造成された住宅地には、記録のない擁壁、現在の基準では認められない構造の擁壁(たとえば古い石積みや、既存の擁壁の上にブロックを継ぎ足した「増し積み」)が今もたくさん現役で働いているのです。相続との関係で、まず押さえていただきたいことが二つあります。第一に、相続登記そのものに擁壁は影響しません。擁壁は土地の一部として扱われ、登記簿に独立して載ることはなく、名義の変更は普通の土地と同じように進められます(義務化の期限2027年3月31日も同じです)。第二に——こちらが本題ですが——名義と一緒に、擁壁の管理責任も引き継ぐということです。擁壁は民法717条の「土地の工作物」にあたり、設置や保存に瑕疵があって崩れ、隣家や通行人に損害を与えれば、所有者は無過失責任を負います。この仕組みは空き家の賠償責任の記事でご説明したとおりで、「親の代からあった壁だから」という言い訳は通りません。 だからこそ、擁壁のある土地を相続したら、最初にやることは二つです。一つ目は現物の点検。ひび割れ、壁面のふくらみ(はらみ)、水抜き穴から水が出ているか(詰まって土中に水が溜まるのが崩壊の典型原因です)、継ぎ足しの跡がないか。道路や隣地から写真を撮っておくだけでも、後の判断材料になります。目に見える異常があれば、専門業者や建築士の点検を早めに。遠方にお住まいで現地へ行けない場合も、管理代行や近隣の方への声かけで、せめて外観の写真だけは定期的に手元へ届く形をつくってください。壁は、ある日突然は壊れません。小さな変化の積み重ねを、誰かが見ていることが大切なのです。二つ目は記録の調査です。市役所の建築指導の窓口で、擁壁の確認申請や検査済証、宅地造成の許可の記録が残っているかを調べます。分譲地なら造成時の開発許可の記録が手がかりになります。この「記録があるかないか」が、次の章でお話しする建て替えと売却の運命を分けるのです。なお、制度の背景として、2023年に盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が施行され、愛知県は2025年5月から規制区域の運用を始め、名古屋市も2025年5月から市内全域が宅地造成等工事規制区域となりました。一定規模を超える盛土や切土、崖をつくる造成には市長の許可が必要で、規制区域内であることは売買の際の重要事項説明の対象にもなります。高低差のある土地の「壁」をめぐる目は、年々厳しくなっているとお考えください。

2 建替えと売却の壁|調べ方・がけ条例・値付けの考え方

 

「安全の確認できない擁壁」は、ないものとして扱われる——これが壁の正体です。

建て替えの場面で何が起きるかをご説明します。各自治体の建築に関する条例には、いわゆる「がけ条例」と呼ばれる定めがあり、一定の高さ(2メートルを超えるものが典型です)のがけの上や下に家を建てる場合、安全な擁壁を設けるか、がけから距離を取るか、建物側で特別な対策をすることが求められます。ここで効いてくるのが、前章の「記録」です。検査済証などで安全性が確認できる擁壁なら、そのまま建て替えが進められる場合が多い。ところが、記録のない擁壁や古い石積みは、構造や基礎の中身を外から証明できないため、「安全の確認できない擁壁」として扱われ、新しい擁壁へのやり直しや、杭・深基礎といった建物側の対策を求められることがあります。擁壁のやり直しは、規模にもよりますが数百万円、場合によっては1,000万円に近い工事です。つまり、上に建つ古い家の建て替え費用に、見えない「壁の費用」が上乗せされる——これが高低差のある土地の建て替えの壁です。売却の場面では、この壁がそのまま値段に映ります。買主や建売業者は、擁壁のやり直し費用を見込んで買付価格を計算しますから、「土地の相場から擁壁の対策費を引いた値段」が実勢になります。査定が会社によって大きくばらつくのもこの型の土地の特徴で、擁壁をどう評価したかの説明を各社に求めながら比べることが大切です(査定の受け方の記事をご覧ください)。 では、相続人としてどう動くか。手順は四つです。手順①、相続登記と権利の整理を先に済ませる。共有のままでは修繕も売却も進みません。手順②、役所と現地の調査で「擁壁の素性」を明らかにする。記録の有無、高さ、構造、劣化の程度。この素性次第で、普通の土地として売れるのか、対策費を織り込む土地なのかが決まります。手順③、売り方を選ぶ。素性の良い擁壁なら通常の仲介で問題ありません。記録がない・劣化があるなら、現状のまま告知して値段で調整する売り方が基本です。欠陥を伏せて売るのは契約不適合責任の火種になりますから、調査結果と点検の記録をそのまま開示するのが、結局いちばん高く安全に売る道です(建物状況調査の記事でお話しした「傷みの分かっている家が選ばれる」のと同じ理屈です)。隣地との高低差がある場合は、境界と排水の経路も一緒に確認しておきましょう。擁壁の所有が隣と不明確な例(どちらの土地の壁か分からない)もあり、境界の記事でご説明した確定測量が必要になることもあります。自分の擁壁だと思っていたら隣地の持ち物だった、あるいはその逆——高低差のある土地では、壁の持ち主の確認は値段の前提そのものです。手順④、当面持ち続けるなら、点検と記録を習慣に。年に一度、雨の後に写真を撮る。それだけで、717条の「保存に注意を尽くした」立証材料が積み上がります。実例をご紹介します。名古屋市東部の、ひな壇造成地の実家を相続された方のご相談でした。高さ約3メートルの石積み擁壁があり、ある不動産会社からは「擁壁がこれでは売れません」とだけ言われて途方に暮れていました。当事務所で相続登記を済ませたうえで、市の窓口で造成記録を調査したところ、擁壁は造成時の検査記録が残る適法なものと判明。劣化も軽微という建築士の所見を添えて売り出したところ、ほぼ相場どおりの価格で成約しました。逆に記録がなかったとしても、対策費を織り込んだ値付けという次の一手があります。どちらに転んでも、道が決まるのは「調べた後」。擁壁の土地は、調べる前に諦めるのが一番の損なのです。

3 名古屋のごとう司法書士事務所の特徴|高低差のある土地も出口までご一緒に

 

権利の整理は司法書士、売却の戦略は宅建業者。壁のある土地こそ両輪で。

個別対応します|擁壁の素性調査から

 

記録の有無・劣化の程度・隣地との関係を整理し、取れる選択肢を並べます。

当事務所は、相続と不動産を中心業務とする司法書士事務所であり、代表は宅地建物取引士として不動産事務所も経営しています。

明瞭会計です|対策費まで入れた手取り試算

 

登記費用から擁壁の対策費の見込みまで、売却の収支を最初にお示しします。

「結局いくら残るのか」を数字でご確認いただいてから、進め方をお決めいただけます。

不動産のプロとして、告知と契約に落とし込みます

 

調査結果を告知書と契約条項へ正確に。後日の紛争を防ぐ売り方をつくります。

建築士など専門家とも連携し、壁のある土地の売却を最後まで伴走します。

最後に ~相続の形は人それぞれ~

お気軽にご相談下さい。

擁壁は登記に載らない相続財産。素性を調べ、記録を残し、値段に正しく映す。

擁壁や高低差のある土地の相続では、登記は普通の土地と同じように進められる一方、民法717条の工作物責任——擁壁の管理責任——を名義と一緒に引き継ぎます。最初にやるべきは、ひび・はらみ・水抜き穴の現物点検と、市役所での検査済証や造成記録の調査です。建て替えでは、いわゆるがけ条例により、安全を確認できない古い擁壁はやり直しや建物側の対策を求められ、数百万円規模の費用になることがあります。売却では、その対策費が値段に織り込まれるため、擁壁の素性を調べてから、記録のある擁壁なら通常の売却、ないなら調査結果を開示して値段で調整する売り方が基本です。2023年施行の盛土規制法により、名古屋市は2025年5月から市内全域が規制区域となり、高低差のある土地への目は厳しくなっています。隣地との境界・排水、共有の整理、点検記録の習慣まで含めて、調べる前に諦めないこと。相続登記から擁壁の素性調査、売却まで、私たちにお任せください。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、「難しいことを簡単に」という理念のもと、法律用語の誤解がトラブルにつながらないよう、家族や相続人の方によってすべて異なる相続の形に個別に対応しています。相続登記、役所での記録調査の段取り、建築士と連携した点検、値付けと売却の実行まで、司法書士と宅地建物取引士の両輪で、女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も丁寧にお受けしています。

▶「擁壁があるから売れない」と言われても、それは調べる前の話かもしれません。無料相談を承っている名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)まで、お気軽にお問い合わせください。


 

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。がけ条例や盛土規制法の運用は自治体により異なりますので、実際のお手続きにあたっては市役所・建築士等の専門家にご確認ください。

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