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相続した不動産の管理方法と税金|放置するリスクを名古屋の司法書士が解説

相続に関する気になるトピックや情報を配信しています。ご興味のある記事がございましたら、ご参考にしてみて下さい。

相続した不動産、そのまま放置していませんか

——住む予定のない実家こそ、早めの方針決めが大切です

親御さまやご親族が亡くなられたとき、ご実家の土地・建物など不動産を相続されるケースはとても多くあります。ところが、「自分はすでに自宅を持っているので住む予定がない」「遠方に住んでいて様子を見に行けない」といった理由から、相続した不動産をそのままにしてしまう方が少なくありません。

しかし、2024年4月に相続登記が義務化され、空き家に対する行政の対応も年々厳しくなっています。相続した不動産を放置すると、税金の負担が増えたり、思わぬ損害賠償責任を負ったりするおそれがあり、「何もしない」ことが一番のリスクになる時代です。

 

そこで今回は、名古屋市中区丸の内の司法書士が、相続した不動産にかかる税金と管理責任、そして具体的な管理方法について、2026年時点の最新の制度をふまえて解説します。

1 相続した不動産にかかる税金を知っておく

——相続のとき・名義変更のとき・持ち続ける間、それぞれに税金がかかります

相続した不動産と上手に付き合う第一歩は、「いつ・どんな税金がかかるのか」を整理しておくことです。場面ごとに見ていきましょう。

相続税がかかるかどうかは基礎控除で判断する

不動産を含む遺産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要になります。基礎控除額は次の式で計算します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者とお子さま2人の合計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。遺産の総額がこの金額以下であれば、原則として相続税はかかりません。名古屋市内の不動産は評価額が高めになりやすいため、ご自宅と預貯金を合わせると基礎控除を超えるご家庭は珍しくありません。

注意したいのは、生前贈与と死亡保険金です。亡くなる前の一定期間内に受けた贈与は、相続財産に持ち戻して計算されます。この持ち戻し期間は、税制改正により従来の「3年」から「最長7年」へ段階的に延長されている最中です。2026年中に開始した相続では実質3年分ですが、2027年以降は対象期間が順次延び、最終的に7年分となります(延長された4年分については総額100万円まで加算されない緩和措置があります)。また、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります(500万円×法定相続人の数の非課税枠あり)。

一方、被相続人に借入金などの債務があった場合や、葬式費用を支出した場合は、遺産総額から差し引くことができます。金銭消費貸借契約書や領収書など、金額を証明できる書類は必ず保管しておきましょう。

名義変更(相続登記)には登録免許税がかかる

相続税がかからない場合でも、不動産の名義を変更する相続登記の際には登録免許税がかかります。税率は固定資産税評価額の0.4%です。たとえば評価額2,000万円の土地建物であれば、登録免許税は8万円となります。なお、評価額100万円以下の土地については、登録免許税が免除される措置が設けられています(適用期限があるため、最新の情報をご確認ください)。

相続を原因とする取得であれば、贈与税や不動産取得税は原則かかりません。この点は生前贈与と大きく異なるところで、「生前に贈与するか、相続で引き継ぐか」を検討する際の重要な比較ポイントになります。

所有し続ける限り固定資産税・都市計画税がかかる

不動産は、持っているだけで毎年固定資産税(標準税率1.4%)がかかります。名古屋市のような市街化区域内の物件では、これに加えて都市計画税(税率0.3%以内)もかかります。

 

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。ところが、後述する空家法の改正により、管理状態の悪い空き家として市町村から勧告を受けると、この特例が解除され、土地の固定資産税が実質的に数倍へ跳ね上がるおそれがあります。「空き家でも建物を残しておけば税金が安い」という従来の常識は、もはや通用しなくなっているのです。

2 相続した不動産には所有者としての管理責任がある

——「住まないから関係ない」では済まされない法的リスクを確認しましょう

相続によって不動産の所有者になった瞬間から、その不動産を適切に管理する責任もセットで引き継ぎます。「住まないから」「遠方だから」という事情は、責任を免れる理由にはなりません。

建物の欠陥で他人に損害を与えたら所有者の責任

民法は、建物などの工作物の欠陥によって他人に損害を与えた場合、最終的には所有者が賠償責任を負うと定めています(工作物責任)。この所有者の責任は、過失がなくても免れることができない重い責任です。

築年数の経った空き家では、台風で屋根瓦が飛んで隣家の車を傷つけた、老朽化したブロック塀が倒れて通行人がけがをした、といった事故が現実に起きています。万一、人の生命や身体にかかわる損害を与えてしまえば、賠償額が数千万円規模に及ぶこともあり、ご自身やご家族の人生設計を大きく揺るがしかねません。

空家法の改正で「管理不全空家」も指導・勧告の対象に

空き家の増加が社会問題となるなか、2023年12月に改正空家対策特別措置法が施行されました。従来は、倒壊のおそれがあるなど状態が深刻な「特定空家」だけが行政措置の対象でしたが、改正により、その予備軍である**「管理不全空家」**(窓が割れたまま、雑草が繁茂しているなど、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家)も、市町村の指導・勧告の対象となりました。

勧告を受けると、前述のとおり固定資産税の住宅用地特例が解除されます。さらに特定空家に対する命令に従わない場合は過料が科され、最終的には行政代執行により建物が取り壊され、その費用が所有者に請求されることもあります。名古屋市内でも空き家への対応は強化されており、ご近所からの通報をきっかけに市から通知が届くケースもあります。

相続登記の義務化——放置は過料の対象に

2024年4月1日から、相続登記の申請が法律上の義務になりました。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければ、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となります。

 

特に注意していただきたいのは、義務化より前に発生した相続にも適用がある点です。この場合の申請期限は2027年3月31日とされており、期限まで残り1年を切りました。「祖父母の代から名義がそのまま」という不動産をお持ちの方は、早めの対応をおすすめします。名義を放置したまま次の相続が発生すると、相続人が数十人に膨らみ、遺産分割の話し合い自体が困難になることもあります。

3 相続した不動産の具体的な管理方法

——自主管理・委託・賃貸活用・売却、費用と手間を比較して選びましょう

では、相続した不動産は具体的にどのように管理すればよいのでしょうか。主な方法を、費用の目安とあわせてご紹介します。

自分で定期的に管理する

もっとも費用がかからないのは、ご自身で定期的に足を運ぶ方法です。月に1回程度を目安に、窓を開けての換気、通水(水道を流して排水トラップの水切れを防ぐ)、郵便物の回収、庭木や雑草の手入れ、雨漏りやシロアリの点検などを行います。建物は人が使わなくなると傷みが一気に進むため、この地道な手入れが資産価値を保つ鍵になります。

ただし、遠方にお住まいの場合は交通費と時間の負担が重くなります。名古屋のご実家を相続されたものの、ご自身は関東や海外にお住まいというケースでは、現実的に続けるのは難しいでしょう。

空き家管理サービスに委託する

ご自身での管理が難しい場合は、空き家管理の専門業者や不動産会社に委託する方法があります。費用の目安は、外観の見回り中心の簡易プランで月額数千円程度、室内の換気・通水まで含むプランで月額1万円前後です。年間で数万円から十数万円の出費にはなりますが、事故やご近所トラブルのリスクを考えれば、決して高い保険料ではありません。

一方で、活用の予定がまったくない空き家に管理費用を払い続けるのは、出費がかさむだけという見方もできます。「何のために維持するのか」という目的をあわせて考えることが大切です。

賃貸物件として活用する

住む予定のない不動産の有効な選択肢が、賃貸物件としての活用です。家賃収入が得られるうえ、入居者が日常的に建物を使ってくれるため、空き家特有の劣化を防げるという管理面のメリットもあります。賃貸管理を不動産会社に任せれば(管理料の目安は家賃の5%前後)、入居者対応や家賃回収に頭を悩ませる必要もありません。

ただし、賃貸活用には注意点があります。

1つ目は、立地や物件の条件です。入居需要のないエリアでは、リフォームをしても借り手がつかず、投資を回収できません。周辺の賃貸相場や空室状況を必ず調べましょう。

2つ目は、初期投資です。相続した時点の建物は、そのままでは貸せない状態がほとんどで、リフォームや残置物の処分に数十万円から数百万円かかることも珍しくありません。たとえば、リフォームに300万円かけて家賃8万円で貸せた場合、年間家賃収入は96万円ですが、ここから管理料・固定資産税・修繕費を差し引くと、投資回収には5年前後かかる計算になります。将来の大規模修繕や退去時の原状回復費用も見込んで、売却時の損益まで含めたトータルの収支で判断することが大切です。

また、相続した土地にアパートなどを新築する場合は、特に慎重な検討が必要です。家賃保証(サブリース契約)をめぐるトラブルは今も後を絶ちません。建築業者の収支予測を鵜呑みにせず、必ずご自身でも物件調査と収支計算を行い、不安があれば契約前に法律の専門家へご相談ください。借入れによる相続税対策という側面があっても、そもそも採算の取れない収益物件を持っては本末転倒です。

売却して手放すという選択

活用の見込みがない不動産は、相続のタイミングで売却して現金化することも、立派な「管理」の結論です。現金であれば相続人間で公平に分けやすく、管理責任や毎年の税負担からも解放されます。

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例(空き家の譲渡所得の特別控除)を使える可能性があります。また、利用予定のない土地については、法務局の審査を経て国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあります。いずれも要件が細かく定められているため、適用できるかどうかは専門家に確認しながら進めると安心です。

 

なお、どの方法を選ぶにしても、その前提として相続登記を済ませておく必要があります。売却も賃貸も、名義が亡くなられた方のままでは進められません。

まとめ

——相続した不動産は「放置しない」と決めることが最大のリスク対策です

名古屋の司法書士が、相続した不動産の税金・管理責任・管理方法について解説しました。

不動産は、所有しているだけで固定資産税がかかり、管理を怠れば損害賠償や行政措置のリスクを負います。さらに相続登記の義務化により、名義の放置そのものが過料の対象となりました。相続した不動産への向き合い方は、「自分で管理する」「委託する」「貸す」「売る」の4つが基本です。どれを選ぶにしても、まずは相続登記を済ませ、ご家族で活用方針を話し合うことから始めてみてください。

 

当事務所は司法書士事務所と不動産事務所を併設しており、相続登記から売却・活用のご相談までワンストップでお手伝いできます。平日はお仕事でお忙しい方も、事前のご予約で土日祝のご相談が可能です。名古屋市中区丸の内の事務所で、おひとりおひとりのご事情に合わせた進め方をご提案いたします。

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