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韓国国籍の方が亡くなった場合の相続

韓国は、日本の戸籍制度と同じような形になっていますので、他の諸外国に比べるとやりやすいかもしれません。ただし、微妙に違っている点もありますので、必ず事案に応じて韓国民法にあたるようにしましょう。

 

相談先でも迷うかもしれません。
韓国などの諸外国の相続は、日本とは違い法律が異なることもも多く、司法書士でも調べながら仕事を進めることがあります。

名古屋など愛知県でお困りの方は、ぜひ「ごとう相続手続き相談センター」へご相談下さい。

ここでは、韓国国籍の方が亡くなった場合に適用される法律や相続手続きについて解説をします。

韓国の相続

  • 1
    どの国の相続法が適用されるのか?(準拠法)

相続に関しては「韓国の相続法」による

相続に関して日本では、「被相続人の本国法による」としているので、韓国法によりますが、韓国法では、「相続は死亡当時被相続人の本国法による」と規定しているのです。

したがって、日本の不動産等の相続手続きのおいて、誰が相続人になるのかは韓国の相続法である民法に定めるところに従って判断することになります。

相続人の特定や法定相続分などは、日本の相続法ではなく、韓国の相続法で決まることになるのです。

  • 2
    韓国の相続制度

韓国の民法の変遷

現行の韓国民法は、1991年(平成3年)1月1日以降に亡くなった人に適用されます。それ以前に亡くなっている場合は、旧法が適用されます。亡くなった日に注意しましょう。

相続はなくなった日に適用されている法律によって判断されます。

韓国民法(相続法)

相続人
配偶者は常に相続人になる。その他の相続人は以下の順位で配偶者とともに相続人になる。これらの者がいない場合は、配偶者が単独で相続人になる。また同親等の相続人が複数人いる場合は、共同相続人になる。

第1 直系卑属
第2 直系尊属
第3 兄弟姉妹
第4 四親等以内の傍系血族
※注意:第3、第4順位の相続の場合は、配偶者がいるときは配偶者が単独相続人となる「兄弟姉妹」や「四親等以内の傍系血族」は相続人とはなりません。

なお、日本の代襲相続人の規定もあるが、少し日本のものとは異なるので注意が必要です。例えば、兄弟姉妹の代襲相続は日本ではその子までしか無理でしたが、韓国民法ではその直系卑属が代襲相続人になることができます。

法定相続分
韓国民法での法定相続分は同順位の者は同じです。配偶者の相続分は、直系卑属、直系尊属の相続分の5割を加算するとしています。配偶者は直系尊属や直系卑属の1.5倍になります。

法定相続分の例)
相続人 配偶者、子A、子Bの3人の時
法定相続分 配偶者:子A:子B=3:2:2

 

遺言書
韓国の法律は、日本の民法と似ていますが、日本にはないものとして「録音」による遺言があります。これは、遺言者が遺言の趣旨、氏名及び生年月日を口述し、立ち会った証人が、遺言書が正確なこと等を後述することで成立します。

 

  • 3
    戸籍等の必要書類の取り寄せ

韓国の戸籍制度
2008年1月1日より、戸籍法廃止に伴い新たな法律として家族関係登録法が施行されました。

これは、戸主と中心とする家単位ではなく、個人単位で情報を管理する制度です。登録事項別証明書は記載内容に応じて、以下の5つが用意されています。

【証明書の種類】
① 家族関係証明書
② 基本証明書
③ 婚姻関係証明書
④ 入養関係証明書
⑤ 親養子入養関係証明書
※④「入養関係証明書」は日本でいう普通養子、⑤「親養子入養関係証明書」は、特別養子の場合です。

 

相続手続きでは、①家族関係証明書と②基本証明書が必要書類の中心になることが多く、必要に応じて③婚姻関係証明書、④入養関係証明書、⑤親養子入養関係証明書を取得していきます。
どこまでの書類が必要かは、相続登記提出先の法務局によっても多少異なる場合があります。


原則は、①家族関係証明書、②基本証明書、③婚姻関係証明書の3種類を詳細証明書で取得しておきましょう。
 

証明書の種類 共通記載事項 個別記載事項
家族関係証明書 本人の※登録基準地、氏名、性別、本、出生年月日、住民登録番号 親、配偶者、子に関する事項
基本証明書 本人の出生、死亡等の事項
婚姻関係証明書 配偶者、婚姻・離婚に関する事項
入養関係証明書 養父母、養子等に関する事項
親養子入養関係証明書 実の父母、養父母または親養子に関する事項及び養子縁組、離縁等に関する事項

※登録基準地:廃止された戸籍法時代の基準となる本籍に代わるもので、管轄を定める基準地として創設されたもの。

さらにこの各証明書には、「一般証明書」「詳細証明書」「特定証明書」の3種類に細分化して発行されます。
「一般証明書」は、現在事項のみ記載されます。
「詳細証明書」は、現在事項と過去の履歴事項等(家族関係登録法改正以降分)が記載されます。
「特定証明書」は、基本証明書にのみ適用されますが、交付申請者が特定した事項のみ掲載して証明書を発行します。

ただし、相続手続きにおいては、現在の証明だけでは足りず「詳細証明書」を取得することが多いです。二度手間にならないように、原則は「詳細証明書」を取得しておきましょう。

 

◆注意点 最初に死亡届の提出が必要なことがある

相続で、韓国の戸籍を請求する場合、最初に死亡届を韓国領事館等へする必要があります。
これは、まず死亡の記載を韓国戸籍に載せないくては、韓国戸籍上、死亡の確認がとれず、いくら生きている記載の韓国戸籍を取得しても相続の証明書としては使用できないからです。この点は、日本の場合と同様です。日本では、火葬許可などと共に死亡届も提出していると思います。その後、役所の事務手続き期間を経て、戸籍を請求すると死亡の記載が載ってきます。

この死亡届は、韓国語で申請する必要がありますので、手順としては、まず添付書類として死亡診断書等の必要書類を取り寄せて、日本語から韓国語への翻訳文を作成し、一方、死亡届は、日本語ではなく韓国語で書くことになります。

 

韓国語ができない方は、基本的には翻訳をしてもらい手続きをしなくてはいけません。

■証明書の交付請求

*証明書の請求権者
韓国の各証明書を請求できるのは、本人、配偶者、直系血族及びその代理人とされています。代理人は委任状が必要となり、厳格なチェックがなされます。
代理人が請求する場合でも、委任者本人の委任状への記載や身分証明書の写しを添付しなければならない場合もありますので、申請の際には注意するようにしましょう。

*請求先
日本において証明書の交付請求をする場合は、東京韓国大使館、大阪韓国領事館、福岡韓国領事館等の各領事館に対して行う。ただし、韓国語であるハングルができないと難しい場合があります。

また、韓国の各領事館で直接入手することも可能ですが、交付申請が困難な場合は、専門家へ依頼をすべきでしょう。韓国で発行される各種証明書は、当然、韓国語で書かれています。この証明書をそのまま日本の相続手続きに使うことはできません。必ず訳文をつける必要があります。

 

当センターでも、韓国の除籍等の証明書の取得代行から翻訳まですべてお任せいただけますので、ご不明な方はお気軽にご相談下さい。
 

  • 4
    韓国の本籍地(登録基準地)等がわからない場合は?

相続登記で必要になる韓国の除籍や家族関係証明書を取得する際には、申請書に韓国での本籍地(登録基準地)を記載する必要があります。
韓国での氏名や生年月日は、ある程度分かることも多いのですが、本籍地(登録基準地)がわからないことがあるのです。

 

亡くなった韓国籍の被相続人の方の遺品等を探してもなかなかそれらしいものが見つからないケースがあります。在日韓国人の方で、過去の本国に関する情報を積極的に残していない場合もあるでしょう。配偶者や子でさえも詳しい話を聞いていないようなケースも過去にはありました。
在日韓国人として日本で生活をされている方はそれぞれ事情があることも多く、相続の場面ではそれが相続手続きを困難にしてしまうこともあるのです。

 

このような場合は、いったいどうやって本籍地(登録基準地)を調べればよいのでしょうか?

 

まずは、親族に聞いてみましょう。
親戚や兄弟も同じような境遇の場合があります。中には日本に帰化している方がいるかもしれません。帰化申請の際には、韓国の除籍や家族関係証明書が必要になります。その方と過去に同じ除籍に入っていることもあります。どこかの時点での本籍地(登録基準地)がわかれば、前後の除籍はたどっていけます。有用な手がかりとなるので、一度確認してみて下さい。

 

事情を知る人が誰もおらず、情報が全くない場合は、「外国人登録原票」を調べる方法もあります。

現在は、外国人登録原票の制度は廃止されていますが、記録は残っていることが多く、過去の外国人登録原票の写しを法務省に対して請求できます。亡くなっている方の場合は、「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写し交付請求書」として交付を受けます。なお、この制度は韓国人の方に限らず外国人の方に適用されていた制度です。

相続の場面では外国人登録原票のうち、すべての記載事項についてチェックする必要はありません。本籍地(登録基準地)や住所・居所、家族関係の記載を調べることが多いでしょう。

 

ここで、一つ疑問が出てくるかもしれません。
この外国人登録原票があれば、韓国の除籍や家族関係証明書はいらないのではないか?
外国人登録原票は、日本の法務省が発行する書面です。
その意味では公的な証明書です。

 

しかし、結論としては直接的な公的な証明書として利用することはできない事がほとんどです。

その理由は記載されている事項が自己申告で登録されている事項があるからです。


例えば、家族関係の記載は自己申告で書かれた内容であることが多く、記載事項を登録する際に根拠書類等を用いて確認されたわけではないのです。したがって、外国人登録原票だけを根拠に相続の判断することはできません。

ただし、そこに記載されている内容から除籍や家族関係証明書の交付ができる場合もあり、手がかりがないときは有用な情報ではあります。また、相続関係の総合的な判断が必要な際に役立つ参考資料となることもあります。

  • 5
    日本の財産の具体的な相続手続きはどうなるの?

韓国国籍の方のご相続で必要な書類については前述のとおりです。これで相続人や法定相続分が特定できます。

次は、相続財産の分配を決めます。遺産分割協議などで誰がどの相続財産を取得するかを決めたら、最後に具体的な相続財産の相続手続きです。

 

日本にある財産ですから、手続きは日本で行うことがほとんどでしょう。
例えば、日本の不動産であれば、不動産所在地を管轄する法務局です。預金や貯金などは、最寄り銀行又は口座の取り扱い銀行の支店などで相続手続きをすることになります。

この辺りは、通常の日本人の相続手続きと同じ要領です。

ただ一つ違うのは、相続の判断は韓国の相続法で行う点と相続関係を証する書面に韓国の除籍や家族関係証明書が含まれている点です。日本にある財産であれば、相続手続きの申請先は日本人の相続の場合と変わりません。

 

しかし、この違いが大きく、実際は、必要書類を揃えるだけでも難解で労力を要することになります。
相続の必要書類がきちんとそろわないことも多く、また、韓国の相続法にも精通する必要があるので、通常の日本人の相続手続きとは異なり、法務局や銀行でも不慣れな手続きのため、いつもより時間を要する場合があります。場合によっては判断を間違う可能性だってあるでしょう。

このような場合でも、きちんと法的根拠の提示をしたり、この相続書類が何を証明しているのか説明するなど折衝をして法務局や銀行などの民間企業に対して言うべきことは主張していく必要があります。

  • 6
    まとめ

いかがでしたか?
大変だと思った方も多いのではないでしょうか?

 

日本人の相続の場合は、日本の戸籍や住民票の制度で終わります。遠方といっても日本国内の役所へ請求するレベルです。
それに比べると、韓国の場合は、領事館への請求など外国の役所に対して証明書を請求するのです。それだけでも何だか大変そうだと思われるのではないでしょうか。

 

しかし、韓国は、日本と同じような戸籍や住民登録の制度があるので、他の諸外国に比べると公的な証明書は揃えやすい方です。戸籍などの制度を採用している国は世界ではほとんどありません。

日本で定住している外国人の方でも韓国籍の方は多いと思います。2世、3世となっている方も多いでしょう。日本の方と結婚してそのお子様は日本国籍になっていることもあるでしょう。途中で帰化をして日本人となれば、戸籍に記載されます。帰化申請の際には、自分で韓国の除籍や家族関係証明書を取得しているでしょうから、相続手続きはやりやすいと思います。また、この場合の相続は日本人ですから日本の民法が適用されます。

 

韓国の相続手続きでは、相続順位が第3の兄弟姉妹や第4の四親等以内の傍系血族の場合は、注意が必要です。第3順位以下の場合、配偶者がいれば、配偶者が単独相続になり、兄弟姉妹等は相続人になりません。仮に第3、第4順位の相続の場合は相続証明書として除籍や家族関係証明書を揃えることは大変になります。

 

このように韓国の相続における必要書類は、一律これを揃えれば大丈夫というものではありません。韓国に限らず外国籍の方の相続ではいつも言えることですが、ケースバイケースで必要となる書類を揃える必要があります。また、場合によっては自分たちで書類を作成する必要もあるのです。

 

しっかり調べて相続手続きをしていきましょう。

それでも「韓国籍の方の相続」に不安な方は

お気軽にご相談下さい

韓国に限りませんが、外国籍の方が日本に残した財産の相続手続きは思った以上に複雑で難解です。

日本のように戸籍や住民登録制度が整備されていない国が多く、相続人を把握するのも大変なケースも多くあります。

また、亡くなった方のご相続に関してどこの国の相続法を適用するかの判断も迷ってしまいます。母国の相続法なのか、日本の相続法なのか。

 

当事務所でも韓国の方が亡くなった場合のご相続手続きを多く取り扱っております。
何かお困りの際には何でもお気軽にご相談下さい。
ご連絡お待ちしております。

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