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相続した空き家は今が売り時?税優遇の背景と期限を名古屋の司法書士が解説

相続に関する気になるトピックや情報を配信しています。ご興味のある記事がございましたら、ご参考にしてみて下さい。

相続した空き家の売却と譲渡所得税の話|国が「早く売る人」を優遇する時代になりました

税金のしくみと、期限付き優遇の背景を知れば、「いつ売るべきか」の答えが見えてきます。

親御さまから相続した家が、誰も住まないまま空き家になっている。そんな不動産をお持ちの方に、ぜひ知っていただきたいことがあります。いま国は、相続空き家を早く売却した人の税金を大きくまける政策を、期限付きで展開しているということです。

かつて、相続した空き家の売却には重い譲渡所得税がかかり、「売ると税金を取られるから持ち続ける」という判断も一理ありました。しかし現在は、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例措置があり、税負担の構図は大きく変わっています。しかもこの優遇には期限があり、放置した空き家への課税はむしろ厳しくなる方向です。つまり、売るなら早いほど有利な制度環境が、意図的に作られているのです。

 

このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、譲渡所得税の基本から、特例措置の中身、国がこの優遇を設けた背景と制度の変遷、利用の要件までを、「売り時の判断材料」という視点で解説します。

1 譲渡所得税とは|売却代金ではなく「もうけ」にかかる税金です

「売ったら税金が怖い」の正体を、まず正しく知りましょう。

譲渡所得税とは、不動産などを売却して利益(譲渡所得)が出たときにかかる所得税・住民税のことです。大切なのは、売却代金そのものではなく、「もうけ」の部分に課税されるということ。給与や年金とは合算しない分離課税で、税率は所有期間で決まります。相続した不動産は、亡くなった方が取得した時期を引き継ぐため、親が長年住んだ実家ならほとんどの場合、税率の低い長期譲渡(20.315%)に当たります。

 

「相続しただけで課税されるのでは」というご心配も不要です。譲渡所得税が登場するのは、あくまで売却して利益が出たとき。相続の時点で関係するのは相続税ですが、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲に収まり、そもそも相続税がかからないご家庭も多くあります。売却で本当に向き合うべきは譲渡所得税であり、その税額を劇的に変えるのが、次にご説明する特別控除の存在です。

2 譲渡所得税の計算方法|特別控除の有無で税額は559万円→0円まで変わる

計算式はシンプル。効くのは「取得費」と「特別控除」です。

計算式は「売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得」。この金額に税率を掛けたものが税額です。取得費は親御さまが購入した当時の代金を引き継ぎますが、古い実家では契約書が見つからず、売却代金の5%を取得費とみなす概算取得費で計算せざるを得ないことが多くあります。

 

数字で見てみましょう。相続した実家を3,000万円で売却し、契約書が見つからないケース。概算取得費150万円、譲渡費用100万円とすると課税譲渡所得は2,750万円で、長期譲渡でも税額は約559万円。売却代金の2割近くが税金に消えます。だからこそ、売却を考え始めたら、まず実家の権利証と一緒に保管されていることの多い購入時の売買契約書や領収書を探してください。実額の取得費が使えるだけでも、税額は大きく変わります。ところが、ここに3,000万円の特別控除が使えれば、課税譲渡所得はゼロ、税額もゼロ。ご自身が住んでいたマイホームの売却には以前からこの特別控除がありましたが、「住んでいない相続空き家」にも同水準の控除を認めたのが、次の特例措置です。

3 空き家の発生を抑制するための特例措置|相続空き家の3,000万円特別控除

「被相続人の居住用財産の特例」。相続空き家のための、期限付きの大型控除です。

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称・空き家特例と呼ばれる制度です。一人暮らしをしていた親御さまが亡くなり、空き家となった実家(マンションなどの区分所有建物は対象外)を要件を満たして売却すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。2024年以降は、その家を相続した相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円となりますが、それでも効果が絶大であることに変わりはありません。

 

先ほどの例なら、約559万円の税金がまるごとゼロになる計算です。数百万円という金額は、実家の片付けやリフォーム、ご家族の将来資金に十分な原資。使えるかどうかを確かめずに売却を進めるのは、あまりにもったいない制度です。しかも、要件を満たす相続人が複数いれば、それぞれが自分の持分について控除を使えるため、ご家族全体でみた節税効果はさらに大きくなり得ます。まさに「相続空き家のための、国からの売却支援金」と呼びたくなる規模の優遇です。

4 特例措置の背景|国はなぜ「早く売る人」を優遇するのか

優遇には理由があり、理由には期限があります。ここが「売り時」の核心です。

なぜ国は、これほど大きな税優遇を用意したのでしょうか。背景にあるのは、深刻化する空き家問題です。人口減少と高齢化で全国の空き家は約900万戸と過去最多を更新し、その多くが相続をきっかけに生まれています。これは過疎地だけの話ではありません。名古屋のような大都市圏でも、高度成長期に開発された住宅地で家主の世代交代が一斉に進み、旧耐震基準(昭和56年5月以前)の家屋が空き家として取り残されるケースが増えています。古い家屋が放置されると、倒壊や放火、ごみの不法投棄といった危険が地域に広がり、街の資産価値そのものを傷めていく。そこで国は、「危険な空き家になる前に、相続人が早く売却して市場に戻してくれるなら税金をまける」という政策を選んだのです。

この政策は単発ではなく、大きな流れの一部です。2015年に空家対策特別措置法が施行されて危険な空き家への行政指導が始まり、所有者不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法の大改正が続き、相続土地国庫帰属制度のような「手放す仕組み」も整備されました。空き家特例は、この一連の空き家・所有者不明土地対策の「税制からの後押し」という位置づけなのです。

制度の歩みを振り返ると、この特例は2016年(平成28年)に期限付きで創設され、以後、延長と改正を重ねてきました。当初は「売主が耐震改修か取壊しをしてから引き渡す」ことが求められましたが、2024年の改正では、売却後に買主が耐震改修や取壊しを行う場合でも適用できるようになり、古い家を現状のまま引き渡す取引でも使いやすくなっています。要件を緩めてまで利用を促す。ここに国の本気度が表れています。現在の適用期限は2027年12月31日までの売却。過去にも延長されてきた制度ですが、再延長されるかは未定です。

 

見逃せないのは、この「アメ」と同時に「ムチ」も強化されていることです。相続登記は2024年に義務化され(3年以内・過料あり)、2023年の法改正では管理の悪い空き家(管理不全空家)の固定資産税優遇を解除する仕組みも導入されました。早く動く人を優遇し、放置する人の負担を重くする。国の方向性は一貫しており、この流れが逆戻りする可能性は低いでしょう。制度がそろった今こそ、相続空き家の「売り時」といえる理由がここにあります。

5 特例措置を利用する主な要件|ご実家が当てはまるかチェック

入口は「昭和56年5月31日以前の建築」。あとは売り方と期限です。

主な要件を確認しましょう。まず入口として、ご実家の建築年月日を登記事項証明書や固定資産税の課税明細で確認してください。家屋については、昭和56年5月31日以前に建築された区分所有建物以外の家屋で、相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと(要介護認定を受けて老人ホームに入所していた場合の例外あり)。相続のときから売却まで、住んだり貸したり事業に使ったりしていないことも必要で、「空けておくのはもったいないから」と一時的に貸すと適用資格を失います。

 

売却については、代金が1億円以下であること、家屋を耐震基準に適合させて売るか取り壊して売ること(前述のとおり買主側での工事も可)、そして相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが求められます。細かな注意点もあります。1億円以下の判定は、共有で相続した場合には共有者全員の売却代金を合算して行うため、「持分ごとに見れば1億円以下」という理屈は通りません。また、相続税を納めた方が使える取得費加算の特例とはどちらか一方の選択適用となるため、両方の要件を満たす場合は有利なほうの試算が必要です。適用には市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書(電気・ガスの閉栓証明や現況写真などを添えて申請します)を添付した確定申告が必須で、税額がゼロになる場合でも申告を省略できません。要件の詳しい判定や必要書類は個別性が高いため、売却活動を始める前のご確認をおすすめします。

まとめ|期限のある優遇は、使える人から使っていきます

「持ち続けるコスト」と「今売る優遇」。天秤はすでに傾いています。

空き家を持ち続ければ、毎年の固定資産税と維持管理費で年間数十万円が出ていき、老朽化すれば近隣トラブルや損害賠償、特定空家の指定や行政代執行のリスクまで抱え込むことになります。一方で、いま売却すれば、最大3,000万円の控除で税負担を抑え、手元に残るお金を最大化できる。国の政策によって、天秤は「早く売る」側に大きく傾けられているのです。もちろん、住む・貸すといった活用の道もありますから、大切なのは「放置」だけを選択肢から外して、比較検討を始めることです。

そして、この優遇には2027年12月31日という期限と、相続開始から3年前後という個別の期限があります。売却には相続登記や境界の確認など数か月単位の準備が必要です。今から動けば、戸籍集めと遺産分割協議を経て年内に相続登記を終え、年明けから売却活動を始めて、余裕をもって特例の期限内に決済までたどり着ける。しかし半年、1年と迷っているうちに、この余裕は確実に削られていきます。「いつか売ろう」と思っている方こそ、逆算を今日始めてください。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、売却の前提となる相続登記から、司法書士と宅地建物取引士を兼ねる専門家ならではの売却サポート、提携税理士と連携した特例適用の検討まで、ワンストップでお手伝いしています。女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も歓迎です。

 

▶「うちの実家は特例を使える?いくら残る?」という試算のご相談から。

名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。税制や特例の適用要件・期限は改正される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては国税庁の最新情報をご確認のうえ、司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

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