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遺言作成を進めるとき、必ず出てくるのがこの「公正証書遺言」です。では改めて公正証書遺言とはどんな遺言なのでしょうか。他の遺言と比べてどこが良い点なのでしょうか?
最もポピュラーな遺言である公正証書遺言についてじっくり解説します。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人のもとで作成する遺言です。作成に公証人が関与しますので、遺言の信用が増します。また証人という立会人のような人も作成にかかわるので、遺言者が自分の意思で作成した者であることは明白になります。
公正証書遺言のメリット
① 信用力が高いので後にトラブルになりにくい
遺言の作成は公証人の面前で行われます。また、証人が立ち会うことになるので、遺言者の意思も明白となり、変造等の危険も少ないので、相続開始後、トラブルとなることがほとんどありません。
➁ 家庭裁判所の検認手続きが不要
自筆証書遺言や秘密証書遺言では、遺言の検認手続きが必要です。これは、管轄の家庭裁判所へ申立てを行う手続きです。時間と費用がかかるものですので、受遺者や相続人に負担をかけるものとなってしまいます。
しかし、公正証書で遺言を作成することで、この検認手続きを刷る必要がなくなり、相続開始後、受遺者や相続人だけで粛々と相続手続きをすることが可能となります。
公正証書遺言のデメリット
① 費用がかかる
公証役場への手数料と専門家へ依頼をする場合の報酬がかかります。出張での作成等、公証役場での作成以外の場合、タクシー代等の別途費用がかかります。
➁ 手続きがめんどくさい
公証役場での事前準備が必要となります。ただし、この点は専門家へ依頼をすることで解決できます。専門家が事前にヒアリングで遺言書の内容を聞き取り、文案を考えます。公証人の手配も含めてすべて専門家が通常は行いますので、遺言者の方にご負担をほとんどかけることはありません。
③ 完全に遺言を秘密にすることができない
自筆証書遺言頭とは異なり、公証人や証人といった人たちには遺言内容は知られてしまいます。それらの人たちは当然口外することはしないと思いますが、完全に秘密ではない状態が生まれます。
遺言に関しては、次のような民法の規定があります。
民法第967条(普通方式による遺言の種類)
「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りではない。」
つまり、公正証書遺言は、遺言作成の方式のひとつになります。その具体的な作成方式は次のとおりです。
証人が立ち会うことで、第三者によるチェックも入り、客観的に間違いのない遺言であることの証明になります。遺言者の人違いや公証人の筆記の間違いを防止することなどが期待されます。
証人は、公証人による作業を最初から最後までチェックする必要がありますので、途中退席は許されません。
司法書士や弁護士等へ依頼をすれば、司法書士等の資格者自身や事務員の方が証人になることが多いと思います。また、その他ご自身で探しても問題ありません。ただし、その場合は、遺言内容を射られることになる点にはご注意下さい。
また、遺言執行者も証人になることができます。
口授とは、口頭で伝えることです。ここも司法書士等の専門家に依頼をする場合、専門家がヒアリングをしてきちんと事前準備をしますので、公正証書作成当日に確認をするだけで済みます。
民法上は、言葉の制限がありません。ただし、公正証書は日本語で作成する必要があるため、通訳人が必要になります。
遺言内容に間違いがないかをチェックする意味で、遺言書の読み上げや閲覧を行います。遺言者が、耳が聞こえない場合は、通訳人による通訳により読み聞かせを行います。
遺言内容や遺言方式に間違いがない場合、最後に遺言者と証人が署名押印をします。この時、遺言者は実印で押印し、証人は実印又は認印で押印します。
民法では、遺言者が高齢など何らかの理由で署名できな場合、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。なお、証人はこのような規定はなく、必ず署名しなくてはいけません。
一番最後に、公証人が民法の方式に従って作成した旨を記載して、署名押印をします。
押印は、署名と違って高齢でも工夫して可能なこともありますので、可能な限りご本人様が押印されることが望ましいと言えます。
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