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はじめての売却でも迷わないよう、手順と注意点を時系列で解説します。
相続した実家や土地を売却して、その代金を相続人で分けたい。住む予定のない不動産を持ち続けるより、現金化して公平に分けるのは、とても合理的な選択です。しかし、いざ動き出そうとすると、「何から始めればいいのか」「どこに何を頼めばいいのか」と、最初の一歩で立ち止まってしまう方がほとんどです。
相続した不動産の売却は、通常の売却と違い、名義変更(相続登記)という準備段階から始まります。そこから不動産会社への依頼、売買契約、決済と登記、そして翌年の確定申告まで。全体の流れをあらかじめ知っておけば、それぞれの場面で慌てず、損もせずに進められます。
このページでは、司法書士と宅地建物取引士を兼ね、登記と不動産取引の両方を扱う名古屋市中区丸の内の専門家が、相続不動産売却の流れを5つのステップに分けて解説し、あわせて登記名義と税金という2つの注意点をご紹介します。
どの段階で・誰に・何を頼むのか。5つのステップで整理します。
時間の目安を先にお伝えすると、相続登記の準備に2〜3か月、売却活動(買主探し)に3〜6か月、契約から決済まで1〜2か月。相続の発生から売却完了まで、順調に進んでも半年から1年はかかる息の長いプロジェクトです。後述する税金の特例には「相続開始から3年前後」の期限があるため、この所要期間を頭に入れて、早めに動き出すことが何よりのコツになります。
「亡くなった父の名義から買主へ直接」は、登記制度上できない相談です。
最初のステップは相続登記です。「どうせ売るのだから、亡くなった父の名義から買主へ直接変えられないのか」とよく聞かれますが、これはできません。登記簿は、所有権が移った事実を時系列に沿って正確に記録する制度であり、被相続人から相続人へ、相続人から買主へという2つの権利変動を、中間を省略して1つにまとめることは認められていないのです。遠回りに見えても、相続登記を経ることが唯一のルートだとご理解ください。
相続登記には、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、法務局への申請というプロセスがあり、準備に2〜3か月かかるのが標準です。2024年4月からは3年以内の申請が義務にもなっています。売却代金を相続人で分ける換価分割にする場合は、その旨を遺産分割協議書に明記しておくことが後の税務トラブル予防に重要です(詳しくは注意点1でご説明します)。売却を決めたら、まず相続登記。ここが最短ルートの入口です。
査定額は「売れる保証額」ではありません。比較と相場観が武器になります。
名義が整ったら、買主を探してくれる不動産仲介会社に依頼します。ここでのポイントは、必ず複数社に査定を依頼することです。同じ物件でも会社によって査定額は驚くほど違い、数百万円の開きが出ることも珍しくありません。そして忘れてはならないのは、査定額はあくまで「この程度で売れそう」という参考価格にすぎず、いくらで売り出すかを決める権利は所有者であるあなたにあるということです。高い査定額で媒介契約を取り、後から値下げを促す営業手法もあるため、査定の根拠(近隣の成約事例など)まで確認して、納得できる会社を選びましょう。
依頼時に結ぶ媒介契約には、複数社に依頼できる一般媒介、1社に任せる専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。それぞれ一長一短がありますので、物件の特性と売り急ぎ度合いで選ぶのが基本です。成約時に支払う仲介手数料は、売買価格400万円超の場合で「価格の3%+6万円+消費税」が上限の目安。2,000万円の売却なら約72万円と、売却費用の中で最も大きな支出になりますから、手取り計算にあらかじめ織り込んでおきましょう。空き家になっている実家なら、内覧前の片付けや風通しも成約率を左右します。
契約書の数行が、後日の紛争を防ぎます。
買主が見つかったら売買契約です。土地や戸建てで特に大切なのが境界の問題。売主には隣地との境界を明示する義務を負わせるのが一般的で、境界標がない場合には土地家屋調査士による確定測量が必要になることがあります。隣地所有者の立会いを要するため数か月かかる場合もあり、早めの着手が肝心です。また、登記簿の面積と実測面積が違ったときに代金を精算するのか(実測売買)、しないのか(公簿売買)も、契約前に必ず確認しましょう。
建物付きで売るか、解体して更地で売るかも、この段階までに決めておきたい論点です。空き家特例を使う場合の耐震要件や、解体のタイミングと固定資産税の関係が絡むため、税金面とセットで判断しましょう。また、古い建物については、設備の故障や雨漏りなどをめぐる契約不適合責任の範囲をどう定めるかが重要です。相続した築年数の古い家では、売主が住んでいなかったため物件の状態を把握しきれないことも多く、その前提に合わせた特約(現状有姿での引き渡しや責任の免除・限定)を検討します。契約時には買主から手付金を受け取り、契約書には収入印紙を貼付します。
司法書士が立ち会い、「代金は払ったのに名義が来ない」事故を防ぎます。
契約からおおむね1〜2か月後、残代金の決済です。銀行の一室などに売主・買主・不動産会社・司法書士が集まり、残代金の受け渡しと同時に所有権を移転し、その日のうちに所有権移転登記を申請するのが不動産取引の標準的な形です。売主は登記識別情報(権利証)や印鑑証明書、本人確認書類を用意し、司法書士が書類の完全性を確認してから送金の合図を出す。この段取りによって、「お金を払ったのに登記できない」「名義を渡したのにお金が来ない」という双方の事故を防いでいます。
住宅ローンの抵当権が残っている場合の抹消登記もこの日に同時に処理します。費用の分担は、買主名義への移転登記費用は買主負担、抵当権の抹消や売主の住所変更登記の費用は売主負担というのが一般的な慣行です。あわせて、その年の固定資産税を引き渡し日で日割り精算し、鍵と関係書類を買主へ引き渡して、取引は完了です。
不動産の売却は、譲渡所得税の対象になるので確定申告を行います。
翌年の3月に確定申告をしますが、税務相談は早めに行かれた方が良いでしょう。1月は比較的まですいていると思われます。申告期限に近づけば近づくほど予約をとるだけでも苦労すると思います。早め早めの行動を心掛けましょう。
売却の成否は、実は「売る前の設計」でほぼ決まっています。
注意点1は、売却時の登記名義を誰にするかです。相続人が複数いる場合、全員の共有名義にして売る方法と、代表相続人1人の名義にして売る方法があります。共有名義では、全員が売主となるため、売買契約や決済に全員の関与(印鑑証明書などの書類と立会い、または委任状)が必要になり、人数が多いほど段取りは大変です。相続人の中に海外在住の方がいれば、印鑑証明書の代わりにサイン証明を現地の領事館で取得してもらう必要があり、日程調整だけでもひと苦労になります。実務では、遺産分割協議書に「売却して代金を分配する(換価分割)」と明記したうえで、代表相続人1人の名義に登記して売却する方法がよく使われます。この明記があれば、代金の分配が贈与とみなされる税務リスクを避けられます。ただし、代金はいったん代表者の口座に入るため、信頼できる人選と、分配方法の事前の取り決めが何より重要です。
注意点2は、譲渡所得税の特例と控除です。相続税を納めた方は、相続税の申告期限から3年以内(相続開始からおおむね3年10か月以内)の売却で、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。また、一人暮らしだった親御さまの実家なら、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる空き家特例も使える可能性があります。どちらも期限があり、両者は選択適用のため、どちらが有利かの試算とあわせて、売却スケジュールは特例の期限から逆算して組むのが鉄則です。特例の詳しい要件は当サイトの別記事でも解説しています。
5つのステップは、つながって初めてスムーズに流れます。
相続した不動産の売却は、相続登記、仲介依頼、売買契約、決済・登記、確定申告という5つのステップで進みます。それぞれの場面に司法書士・不動産会社・土地家屋調査士・税理士と異なる専門家が関わりますが、実は各ステップはひとつながりで、入口の遺産分割協議書の作り方が出口の税金にまで影響します。バラバラの窓口で進めると、連携の隙間で時間と情報が失われがちです。だからこそ、全体を見通した段取りが、時間と手取りの両方を守ってくれるのです。
ごとう司法書士事務所は、司法書士事務所であると同時に不動産事業も手がけており、相続登記から不動産仲介、決済時の所有権移転登記までを一括してお手伝いできるのが強みです。窓口がひとつだから、段取りの抜けや連携ミスがなく、換価分割の協議書設計から特例の期限管理まで、はじめから売却仕様で進められます。相続した不動産の売却や管理にお困りの方は、女性やご高齢の方、外国籍の方も、どうぞお気軽にご相談ください。
▶「まず何から始めれば?」という段階のご相談から。
名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお問い合わせください。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。法改正や税制・不動産取引の実務は変更される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては司法書士・税理士などの専門家に最新の取扱いをご確認ください。
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