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相続登記の義務化とは?過料と正当な理由まで名古屋の司法書士が解説

相続登記の義務化|「いつかやろう」が過料の対象になる時代が、すでに始まっています

義務の中身、過料が科されるまでの流れ、免れられる「正当な理由」まで。制度の全体像をご案内します。

「相続登記が義務になったらしい」。ニュースで見聞きしたものの、自分に関係があるのか、放っておくと本当に罰則があるのか、よく分からないまま過ごしている方は少なくありません。結論から申し上げると、相続登記の義務化はすでに施行済みの現行ルールです。しかも、これから相続する方だけでなく、何十年も前に相続したまま名義を変えていない不動産にも適用されます。

一方で、この制度は「登記しない人を罰すること」自体が目的ではありません。期限に間に合わない事情のある方のための簡易な手段や、過料が免除される「正当な理由」もきちんと用意されています。怖がる前に、正しく知ることが大切です。

 

このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、相続登記とは何かという基本から、手続きの実際、そして義務化の中身(期限・過料・正当な理由・関連する新制度)までを、制度の全体像として解説します。

1 相続登記とは|不動産の名義を「亡くなった方」から「相続人」へ変える手続きです

登記は「この不動産は私のものだ」と第三者に主張するための、権利の看板です。

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、その不動産の名義(登記簿上の所有者)を相続人へ変更する手続きです。不動産の権利関係は法務局の登記簿で公開されており、誰でも確認できます。この登記があるからこそ、買主は安心して不動産を購入でき、金融機関は担保を設定して融資ができるのです。

 

そして登記には、対抗要件という重要な役割があります。自分が相続した不動産でも、登記をしていなければ、法定相続分を超える部分について第三者に「自分のものだ」と主張できない場面が生じます。名義変更は単なる事務作業ではなく、ご自身の権利を守る法律上の武器なのです。逆に、亡くなった方の名義のままでは、その不動産を売ることも、担保に入れることも、取り壊して建て替えることも事実上できません。相続登記は、不動産を「使える資産」にしておくための入口の手続きといえます。

2 相続登記は簡単!?|書類集めと協議書作成に、専門的な壁があります

「名義を書き換えるだけ」に見えて、実は法律判断の連続です。

「名義変更くらい自分でできるのでは」と思われるかもしれません。実際、法務局に申請書を出すこと自体は誰にでもできますし、ご自身で完了される方もいらっしゃいます。ただ、そこへたどり着くまでの道のりには、いくつもの壁があります。

第一の壁は、戸籍収集です。相続登記には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍をすべて集め、相続人を確定させる作業が必要です。転籍や結婚で本籍地が変わっていれば、その数だけ請求先が増えます。2024年3月から戸籍の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でもまとめて請求できるようになって負担は減りましたが、古い戸籍の読み解きや、前婚のお子さまなど想定外の相続人の発見といった局面では、専門的な知識が結果を左右します。相続人を一人でも見落とした遺産分割協議は無効ですから、ここは間違えられません。

第二の壁は、遺産分割協議書の作成です。相続人全員で「誰がこの不動産を取得するか」を合意し、実印を押した書面にまとめる必要があります。不動産の表示の書き方ひとつで法務局から補正を求められることがありますし、書き方によっては後日の贈与税リスクや、売却時のトラブルの種にもなります。加えて、固定資産税の課税明細に載らない私道の持分の見落とし、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)の計算など、細かな実務も積み重なります。平日に法務局や市区町村役場とやり取りする時間が取れない方にとっては、この手間そのものが大きな壁になるでしょう。

 

つまり相続登記は、「簡単な方なら簡単、複雑な方には相当に難しい」手続きです。相続人が配偶者とお子さまだけで、遺産分割の方針も固まっているなら、ご自身での申請も十分現実的です。他方、相続人が多い、疎遠な相続人がいる、先代の相続も未登記のまま残っている、といったご家庭は、早めに専門家へ相談されたほうが、結果的に時間も費用も節約になることが多いのです。費用の目安としては、司法書士に依頼した場合の報酬は事案の複雑さにもよりますが数万円台から十数万円程度、これに実費として登録免許税や戸籍取得費が加わります。ご自身の平日の時間を何日分も使い、補正のたびに法務局へ足を運ぶ手間と比べて、どちらが合理的かという視点で判断されるとよいでしょう。

3 相続登記の義務化|3年・10万円以下の過料・過去の相続にも適用。制度の中身を解説

義務の中身と「過料までの流れ」を知れば、やるべきことが見えてきます。

本題の義務化です。所有者不明土地(登記簿を見ても所有者が分からない・連絡がつかない土地)が全国で九州の面積を上回る規模に達し、公共事業や災害復旧、空き家対策の妨げになったことを背景に、法律が改正され、相続登記は2024年4月1日から義務になりました。

義務の中身はこうです。相続(遺言による取得を含む)によって不動産を取得した相続人は、自分が所有権を取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁)の対象になります。期限の数え方にもご注意ください。起算点は「亡くなった日」ではなく「相続で不動産を取得したと知った日」ですから、たとえば疎遠だった親族の相続人になっていたと後から知ったケースでは、知った時点から3年を数えます。逆に、同居のご家族の相続なら、実質的に相続開始とほぼ同時にカウントが始まると考えておくのが安全です。

そして重要なのは、施行日より前に発生した過去の相続にも適用されることです。この場合は2027年3月31日までが期限の目安となります。「父の代から名義がそのまま」「祖父名義の畑が残っている」という不動産をお持ちの方は、まさにこの経過措置の対象です。世代をまたいだ未登記は、相続人の数が倍々に増えているぶん準備に時間がかかりますから、期限から逆算すると、着手は早いに越したことはありません。

「いきなり過料の通知が来るのか」と不安になる方が多いのですが、過料までには段階があります。まず法務局の登記官が義務違反を把握すると、登記を申請するよう催告が届きます。この催告に応じて登記をすれば、過料には至らない運用です。催告を受けてもなお、正当な理由なく申請しない場合にはじめて、裁判所への通知を経て過料が科され得る仕組みになっています。つまり、通知を無視し続けない限り、いきなり罰則という制度ではありません。

さらに、「正当な理由」があれば過料は科されません。法務省の通達では、相続人が極めて多数で戸籍収集や相続人の把握に時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、申請義務者が重い病気にかかっている場合、DV被害等で避難している場合、経済的に困窮している場合が例として示されています。逆にいえば、「忙しかった」「面倒だった」「費用を出したくなかった」は正当な理由になりません。ご自身の事情が当てはまるか微妙な場合は、自己判断で放置せず、専門家に確認しておくのが安全です。

期限までに遺産分割の話し合いがまとまりそうにない場合の救済策として、相続人申告登記という簡易な手続きも新設されました。「私は相続人です」と法務局に申し出るだけで、ひとまず義務を果たしたことになる制度です。自分の相続人としての立場が分かる戸籍があれば単独で申し出ることができ、他の相続人の協力も要りません。ただしこれは名義変更そのものではなく、あくまで暫定措置。申告登記だけでは不動産を売ることも担保に入れることもできませんし、対抗要件にもなりません。その後に遺産分割が成立したら、成立日から3年以内に、あらためて正式な相続登記を申請する義務が生じます。「申告登記をしたから終わり」ではない点は、くれぐれもご注意ください。

 

もうひとつ、セットで知っておきたいのが住所変更登記の義務化です。2026年4月1日からは、登記名義人が引っ越しや結婚で住所・氏名を変えたときも、2年以内の変更登記が義務となり、怠ると5万円以下の過料の対象になります。相続登記とあわせ、「登記簿を現実に合わせておく」ことが所有者の標準的な義務になったのです。なお、相続登記を後押しする優遇策として、評価額100万円以下の土地の相続登記については登録免許税の免税措置(2027年3月31日まで)も用意されています。名古屋近郊でも、私道持分や山林、農地など、この免税が使える不動産は意外と多くあります。義務化はムチだけでなく、こうしたアメも用意しながら、登記簿の正常化を進めようとしているのです。

まとめ|義務だから、ではなく、ご家族のために早めの登記を

過料を避けることはスタートライン。本当の目的は、権利とご家族を守ることです。

相続登記の義務化は、期限3年・10万円以下の過料という数字ばかりが注目されますが、催告への対応や正当な理由、相続人申告登記といった逃げ道も用意された、バランスのある制度です。過度に恐れる必要はありません。ただ、放置した相続は、世代を重ねるごとに相続人が増え、話し合いはどんどん難しくなります。実際、当事務所へのご相談でも、名義が祖父母の代のままだったために相続人が十数人にのぼり、面識のない親族への連絡から始めなければならなかったケースは珍しくありません。同じ登記でも、一代のうちに済ませれば数週間で終わる手続きが、二代またげば数か月がかりの大仕事に変わるのです。義務化はいわば、「問題が小さいうちに解決してほしい」という国からのメッセージ。期限が来たから慌てて動くのではなく、ご家族の記憶と関係が良好な今のうちに登記を済ませることが、将来の争いからご家族を守るいちばんの近道です。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、戸籍収集から遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請までをワンストップでお手伝いする、相続登記の専門家です。何世代も前から未登記のままの複雑なご相続や、相続人が多数にのぼるケースの実績も豊富です。女性やご高齢の方、外国籍の方にも、お一人おひとりの事情に合わせて丁寧にご対応します。

 

▶「うちの実家、名義そのままかもしれない」と思い当たった方は、それがご相談のタイミングです。

名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。法改正や運用の取扱いは変更される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては司法書士などの専門家に最新の情報をご確認ください。

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