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親の不動産に根抵当権が付いていたら?相続の6か月ルールを名古屋で解説

登記簿の乙区にある「根」の一文字のお話|事業の痕跡は、期限を連れてきます

 

抵当権なら完済すれば終わり。根抵当権は「枠」だから、話が少し違います。

亡くなった親の自宅の登記簿を取ってみたら、乙区に「根抵当権 極度額3,000万円」という記載があった——商売をしていたお父様、会社を経営していたお母様、アパート経営をしていたご実家。事業者だった方の相続では、こうした場面によく出会います。「住宅ローンは完済したと聞いていたのに、これは何の借金だろう」と不安になる方がほとんどですが、根抵当権は借金の残高そのものではなく、銀行との取引のために設定された枠です。残債がゼロのことも、枠いっぱいの債務が残っていることもあります。

そして根抵当権には、相続の場面だけに現れる特別なルールがあります。相続開始から6か月以内に所定の登記をするかどうかで、枠が生き続けるか、その時点の借金だけを担保する状態に切り替わるかが決まるのです。事業を継ぐ方には急ぎの手続きであり、継がない方には慌てる必要のない仕組み——この分かれ道を正しく知ることが、根抵当権との付き合いの第一歩です。このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、根抵当権の正体、6か月ルールの意味、そして抹消や売却の段取りまでを、実例を交えてご説明します。

1 根抵当権の正体|抵当権との違いと相続で起きること

 

枠だから、完済しても自動では消えません。まずここを押さえてください。

まず、普通の抵当権との違いからご説明します。抵当権は、住宅ローンのような特定の借入れ1本に紐づく担保です。その借金を返し終えれば抵当権は役目を終え、抹消の登記をすれば登記簿もきれいになります。これに対して根抵当権は、事業のように借りて返してを繰り返す継続的な取引のための担保です。極度額という上限(枠)を決めておき、その範囲内なら、何度借りても、いったん完済しても、枠は生き続けて次の借入れを担保する——言わば、不動産を担保にした当座の信用枠です。だからこそ、商売や会社経営、賃貸業をしていた方の自宅や事業用地には、取引銀行の根抵当権が付いていることが多いのです。ここから、相続人が最初に知っておくべき性質が二つ導かれます。第一に、登記簿の極度額は借金の残高ではないこと。極度額3,000万円とあっても、実際の残債は500万円かもしれず、ゼロかもしれません。残高は、金融機関への照会や、取引明細・返済予定表で確かめます(借金の全体像の調べ方は、親の借金の調べ方の記事でご説明したとおりです)。第二に、完済していても根抵当権は自動では消えないこと。枠である以上、「今はゼロ」でも枠は残ります。消すには、取引を終わらせて担保すべき元本を確定させ、金融機関から書類をもらって抹消登記をする、という手順が必要です。「残高ゼロなのに登記が残っている」は、根抵当権ではごく普通の光景なのです。 そのうえで、相続で何が起きるかをご説明します。債務者である親が亡くなると、その時点で存在していた借金は、相続の対象として相続人に引き継がれます(何もしなければ法定相続分で分かれて承継され、一人に寄せるには金融機関の同意を得た債務引受の手続きが要ります——住宅ローンの債務引受の記事と同じ構図です)。問題は、枠の側です。亡くなった方の取引はそこで終わりますが、事業を相続人が継ぐなら、枠を引き継いで新しい借入れも担保させたい。継がないなら、枠は閉じてよい。この分かれ道を決めるのが、民法が定める相続の6か月ルールです。すなわち、相続開始から6か月以内に、金融機関との間で「今後は誰を債務者として取引を続けるか」を定める指定債務者の合意の登記をすれば、枠は生き続け、その相続人の新しい借入れも担保します。この登記をしないまま6か月が過ぎると、根抵当権の元本は相続開始の時にさかのぼって確定したものとみなされ、以後は「亡くなった時点で存在した借金だけ」を担保する、実質的に普通の抵当権と同じ状態に切り替わります。期限はありますが、罰則の期限ではありません。どちらの道が正解かは、事業を継ぐかどうかで決まる——次の章で、場面ごとにご説明します。

2 6か月ルールと実務|継ぐ場合・継がない場合・抹消と売却の段取り

継ぐなら6か月は本当の締切。継がないなら、過ぎても困りません。

 

場面を分けて見ていきましょう。第一の場面は、相続人が事業を継ぐ場合です。親の商売を子が引き継ぎ、同じ銀行との融資取引も続けたい——この場合、枠を維持する価値があります。手順は、①前提として不動産の相続登記と、根抵当権の債務者を相続人全員へ変更する登記を入れ、②金融機関と協議のうえ、事業を継ぐ相続人を指定債務者とする合意の登記を、相続開始から6か月以内に済ませる、という二段構えです。この6か月は伸ばせません。戸籍集めや遺産分割に手間取ると意外なほど早く来てしまう期限で、相続放棄の3か月、準確定申告の4か月に続く、事業者の相続の第三の締切と呼ぶべきものです。事業承継のご予定があるなら、四十九日が明けたら銀行と司法書士に声をかける——それくらいの速さがちょうど良いとお考えください。あわせて、亡くなった方の既存の借金を誰が引き受けるか(免責的債務引受)も銀行と調整します。枠の承継と借金の承継は別の手続きで、セットで設計して初めて、事業の資金繰りが途切れずつながります。第二の場面は、事業を継がない場合です。商売は親の代で畳む、アパートは売る——この場合、枠を生かす理由はありませんから、6か月ルールは放っておいて構いません。期限が過ぎれば元本は確定し、残った借金だけの担保になります。やるべきことは枠の維持ではなく、残債の処理です。残債があれば、返済するか、売却代金で返すか、相続放棄を検討するか(借金が財産を上回るなら、3か月の熟慮期間の問題です)。完済したら、または最初から残債ゼロなら、金融機関から確定と弁済の書類を受け取り、根抵当権の抹消登記をします。 ここで、実務上の注意を三つ。第一に、売却の前提になるという点です。根抵当権付きのままでは、買い手は現れません。相続した不動産を売るなら、残債の清算と抹消の段取りを売買の決済と同時に行うのが通常で、司法書士が決済の場で抹消と所有権移転を一括して申請します(決済当日の流れは売買契約と決済の記事のとおりです)。第二に、古い根抵当権の怖さです。何十年も前の、すでに取引のない信用金庫や商工ローン、あるいは個人が根抵当権者になっている登記が残っていることがあります。金融機関の合併や解散、個人の根抵当権者の死亡と相続人の散らばり——時間が経つほど、抹消に必要な相手方と書類の確保が難しくなり、裁判手続きまで要する事案もあります。登記簿に古い担保を見つけたら、売る予定がなくても、相手の所在が分かるうちに抹消しておく。これは次の世代への何よりの置き土産です。第三に、根抵当権は自宅にも付いているという点です。事業資金の担保は事業用地だけとは限らず、自宅を枠に入れているご家庭が少なくありません。「住むだけだから登記簿は関係ない」と放置せず、相続を機に乙区まで必ず確認してください(登記簿の見方は登記簿の読み方の記事をどうぞ)。実例をひとつご紹介します。部品加工業を営んでいたお父様を亡くした50代の男性のご相談でした。工場と自宅に、取引銀行の極度額4,000万円の根抵当権。長男であるご本人が事業を継ぐ方向でしたが、遺産分割の話し合いが長引きかけていました。当事務所で「6か月」の期限から逆算した工程表を作り、先に工場と自宅の分割を固めて相続登記と債務者変更登記を実施、銀行との調整を経て、期限の3週間前に指定債務者の合意の登記を完了。運転資金の融資枠が途切れず、「期限があると知らなければ、話し合いを優先して枠を失っていた」と胸をなでおろされていました。根抵当権は、事業とともに生きてきた担保です。事業を続けるのか畳むのか——家の方針が、そのまま登記の方針になります。

3 名古屋のごとう司法書士事務所の特徴|事業の痕跡の整理もお任せを

相続登記・債務者変更・合意の登記・抹消まで、登記は当事務所の本業です。

個別対応します|6か月から逆算した工程表づくり

事業を継ぐ方には期限管理を、継がない方には残債整理と抹消の段取りを。

当事務所は、相続と不動産を中心業務とする司法書士事務所であり、代表は宅地建物取引士として不動産事務所も経営しています。金融機関との調整も見据えた進行管理で伴走します。

明瞭会計です|登記の種類ごとの費用を事前に

相続登記・債務者変更・合意の登記・抹消登記、それぞれの費用を最初にお示しします。

手続きが複数になる根抵当権の相続こそ、全体の費用を見える化してから進めていただけます。

不動産のプロとして、担保付き物件の売却まで

残債の清算と抹消を組み込んだ売却の段取りを、決済まで一貫して。

 

宅建業者である当事務所なら、根抵当権付き不動産の査定から、決済当日の抹消・所有権移転まで、まとめてお任せいただけます。

最後に ~相続の形は人それぞれ~

お気軽にご相談下さい。

極度額は残高ではない。継ぐなら6か月以内の合意の登記、継がないなら残債整理と抹消。

根抵当権は、特定の借金に紐づく抵当権と違い、極度額という枠で継続的な取引を担保する仕組みです。登記簿の極度額は残高ではなく、完済していても自動では消えません。相続では、6か月以内に指定債務者の合意の登記(前提として相続登記と債務者変更登記)をすれば枠が生き続け、しなければ元本は相続開始時に確定して既存の借金だけの担保になります。事業を継ぐなら6か月は伸ばせない締切(放棄3か月・準確定申告4か月に続く第三の期限)、継がないなら徒過してよく、やるべきは残債の処理と抹消登記です。売却には抹消が前提で、決済と同時に段取りします。古い根抵当権は相手方が分かるうちに抹消を、そして自宅の乙区の確認も忘れずに。借金そのものの承継(債務引受)は枠と別の手続きで、銀行との調整が要ります。期限からの逆算も、抹消も売却も、私たちにお任せください。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、「難しいことを簡単に」という理念のもと、法律用語の誤解がトラブルにつながらないよう、家族や相続人の方によってすべて異なる相続の形に個別に対応しています。根抵当権の相続に伴う各種登記や金融機関との調整の段取りから、相続登記、残債を整理したうえでの売却の実行まで、司法書士と宅地建物取引士の両輪で、女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も丁寧にお受けしています。

▶「登記簿に知らない担保が載っていて、不安で」。その正体の確認から、ご一緒します。無料相談を承っている名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)まで、お気軽にお問い合わせください。


 

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。根抵当権の取り扱いは契約内容や金融機関により異なりますので、実際のお手続きにあたっては専門家にご確認ください。

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