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相続不動産売却の譲渡所得税の計算方法|取得費と税率を名古屋の司法書士が解説

相続に関する気になるトピックや情報を配信しています。ご興味のある記事がございましたら、ご参考にしてみて下さい。

不動産を譲渡するときにかかる所得税とは何か?|「いくら残るか」は計算のしくみで決まります

売却代金がまるごと手に入るわけではありません。手取りを左右する譲渡所得税を、計算の手順からやさしく解説します。

親御さまから相続した不動産に住む予定がないとき、空き家のまま抱えて維持費を払い続けるより、売却して現金化することは合理的な選択肢です。実際、当事務所にも「実家を売りたいが、税金がどれくらいかかるのか分からず不安」というご相談が数多く寄せられます。

相続した不動産を売却して利益が出ると、譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。ここで大切なのは、税金は「売れた金額」ではなく「もうけ(譲渡所得)」に対してかかるという基本のしくみです。このしくみを知らないまま売却を進めると、思わぬ税額に驚いたり、逆に、本来もっと減らせたはずの税金を払いすぎたりすることになりかねません。

 

このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、譲渡所得とは何かという基本から、税額を実際に計算する手順、相続不動産ならではの注意点までを、具体的な数字を使いながら、はじめての方にもわかりやすく解説します。

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譲渡所得とは|課税されるのは「売却代金」ではなく「もうけ」の部分です

取得費に何を入れられるかで、税額は大きく変わります。

譲渡所得とは、土地や建物、株式、ゴルフ会員権といった資産を譲渡(売却)したことで生じる所得、かみくだいて言えば「売って出たもうけ」のことです。給与や年金とは合算せず、不動産の譲渡所得だけで独立して税額を計算する分離課税というしくみが採られています。ですから、「不動産を売った年は給与の税率まで上がってしまうのでは」という心配はいりません。逆に、給与から天引きされる源泉徴収では完結しないため、ご自身での確定申告が必要になる点は覚えておきましょう。

まず安心していただきたいのは、不動産を相続しただけでは譲渡所得税はかからない、ということです。相続の時点で関係するのは相続税(基礎控除を超える場合のみ)であり、譲渡所得税が登場するのは、その不動産を売却して利益が出たときです。「相続しただけで二重に税金がかかるのでは」というご心配は不要です。

もうけは、売却代金から「その不動産を手に入れるのにかかったお金(取得費)」と「売るためにかかったお金(譲渡費用)」を差し引いて計算します。相続した不動産の場合、取得費は亡くなった方が購入した当時の金額を引き継ぎます。ご自身が相続でタダで手に入れたから取得費ゼロ、というわけではありませんのでご安心ください。

取得費に含められるのは、購入代金や建築代金のほか、購入時の仲介手数料、契約書の印紙代、登録免許税や不動産取得税、土地の造成費用などです。ただし建物については、購入代金がそのまま取得費になるのではなく、年数の経過による価値の減少分(減価償却費相当額)を差し引いた金額になります。たとえば建物部分を1,000万円で建てた木造住宅なら、築30年の時点で取得費として使えるのは2割弱まで目減りしている計算です。土地は減価償却しませんので、契約書で土地と建物の内訳がどうなっているかも税額に影響します。一方の譲渡費用には、売却時の仲介手数料、印紙代、測量費、売却のために建物を取り壊した場合の解体費用などが含まれます。逆に、固定資産税や維持管理のための修繕費、抵当権を抹消する登記費用などは譲渡費用には含められません。「売るために直接かかった費用かどうか」が線引きの目安です。

相続不動産で最大の関門になるのが、親や祖父母が購入した当時の売買契約書が見つからず、取得費が分からないケースです。この場合は、売却代金の5%を取得費とみなす概算取得費で計算するしかなく、もうけが実態より大きく計算されて税額が跳ね上がります。売却を考え始めたら、まずは実家の権利証と一緒に保管されていることが多い購入時の契約書・領収書を探すこと。これが最初の、そして最も効果的な節税行動です。

 

契約書そのものが見つからなくても、諦めるのはまだ早いといえます。購入代金を支払った当時の預金通帳の出金記録、住宅ローンの金銭消費貸借契約書や抵当権設定額、分譲時のパンフレットや価格表など、購入金額を裏付ける資料があれば、実額に近い取得費の計上が認められる余地があります。どの資料がどこまで使えるかは個別性が高い論点ですので、概算取得費で計算する前に、一度専門家に資料一式を見せてご相談いただく価値は十分にあります。

2 譲渡所得税額はどのように求めるのか|計算式と税率、シミュレーションで理解する

計算は2ステップ。①もうけを求めて、②税率を掛けるだけです。

税額の計算は、次の2ステップで行います。

ステップ1は、課税対象となるもうけの計算です。計算式は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得金額」。特別控除とは、同居していた自宅を売る場合の居住用財産の3,000万円特別控除や、一人暮らしだった親御さまの実家を売る場合の相続空き家の3,000万円特別控除などで、使えれば税額が劇的に変わります(適用要件は別記事で詳しく解説しています)。また、相続税を納めた方が相続開始から3年10か月以内(相続税の申告期限から3年以内)に売却した場合には、納めた相続税のうち売却した不動産に対応する部分を取得費に上乗せできる取得費加算の特例もあります。たとえば売却した土地に対応する相続税が300万円なら、取得費がその分増え、長期譲渡なら税額を約61万円減らせる計算です。ただし、この特例は空き家の3,000万円特別控除とはどちらか一方の選択適用のため、両方の要件を満たす場合は試算による比較が欠かせません。

ステップ2は、税率を掛ける計算です。税率は不動産の所有期間で変わり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得として20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下なら短期譲渡所得として39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)です。約2倍の差ですから、どちらに当たるかは死活問題です。注意したいのは、判定基準が「売った日」ではなく「売った年の1月1日」だということ。たとえば2021年6月に取得した不動産を2026年6月に売ると、暦の上では5年経過していますが、2026年1月1日時点では4年半のため短期と判定されてしまいます。ここで相続不動産に大きな味方となるのが、所有期間は亡くなった方が取得した時から通算されるというルールです。取得費だけでなく取得時期も引き継ぐため、親が長年住んだ実家なら、相続した翌月に売ってもほぼ確実に長期譲渡となり、税率は約20%で済みます。「相続してから5年待たないと税率が下がらない」というのは、よくある誤解ですのでご注意ください。さらに、ご自身も居住していた家で所有期間が10年を超える場合には、3,000万円控除後の6,000万円以下の部分に14.21%の軽減税率を使える特例もあります。

実際の数字で確かめてみましょう。相続した名古屋市内の実家を3,000万円で売却し、購入時の契約書が見つからないケース。概算取得費は150万円(3,000万円×5%)、仲介手数料などの譲渡費用が100万円とすると、課税譲渡所得は2,750万円。長期譲渡なら税額は約559万円にもなり、売却代金の2割近くが税金に消えることになります。ところが、書類捜索の結果、2,000万円で購入した契約書が見つかれば、譲渡所得は900万円に圧縮され、税額は約183万円。契約書1枚で、手取りが約376万円も変わる計算です。さらに空き家特例などの3,000万円控除が使えれば、どちらのケースでも課税譲渡所得は控除しきれてゼロ、税額もゼロになります。同じ不動産を同じ金額で売っても、税額は約559万円・約183万円・0円と三様に変わる。取得費の確認と特例の検討、この2つがどれほど重要か、お分かりいただけるはずです。

 

なお、譲渡所得が出た場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告が必要です。特別控除で税額がゼロになる場合でも、特例の適用を受けるためには申告そのものが必須ですので、くれぐれもお忘れなく。また、住民税は申告した年の6月以降に納付書が届く後払いですし、譲渡所得が増えることで翌年度の国民健康保険料や後期高齢者医療・介護保険の保険料が一時的に上がる場合もあります。売却代金を使い切らず、翌年の納税・保険料分を取り分けておくことも、忘れられがちな大切な段取りです。

まとめ|計算の鍵は「取得費」。売る前の書類捜索から始めましょう

譲渡所得税は、売却代金そのものではなく、取得費と譲渡費用を差し引いた「もうけ」に課税されます。税率は所有期間で決まり、被相続人の所有期間を引き継げる相続不動産では、多くの場合20.315%の長期譲渡です。相続しただけでは課税されず、売って利益が出たときにはじめて登場する税金ですから、過度に恐れる必要はありません。そして税額を大きく左右するのは、購入当時の契約書が見つかるかどうかという取得費の問題と、3,000万円特別控除などの特例を使えるかどうかの2点。売却を思い立ったら、実家の書類の捜索と、特例の期限(相続開始から3年前後、取得費加算は3年10か月以内)の確認から始めるのが正解です。売却の前提となる相続登記にも時間がかかりますから、逆算すれば動き出しは早いに越したことはありません。

もっとも、このページでご紹介したのはあくまで基本のしくみです。実際には、土地と建物の取得費の按分、減価償却の計算、特例同士の有利選択など、状況によって検討すべき論点が変わります。また、相続人全員で売却代金を分け合う換価分割では、各相続人がそれぞれの取り分に応じて譲渡所得を申告することになり、特例が使えるかどうかの判定も一人ひとり個別に行われます。「兄は控除が使えたのに自分は使えなかった」ということも起こり得るため、分け方を決める段階から税金を見据えておくことが大切です。ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、売却の前提となる相続登記から、司法書士と宅地建物取引士を兼ねる専門家ならではの売却サポートまでワンストップで対応し、税額の詳細な計算は提携税理士と連携してお手伝いしています。女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も歓迎です。

 

▶「うちの実家なら税金はいくら?」という試算のご相談から承ります。

名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。税制や特例の適用要件・税率は改正される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては司法書士・税理士などの専門家に最新の取扱いをご確認ください。ここでの解説は概要です。実際の税額は、状況に合わせた個別の検討で確定します。

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