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思い出の詰まった実家を空き家にしないために。「住む」「貸す」の判断材料をやさしく整理します。
親御さまから実家を相続したものの、今の生活の拠点があるため住む予定はない。かといって、家族の思い出が詰まった家をすぐに売ってしまうのは忍びない。そんなお気持ちから、結果として実家が空き家のままになっているご相談を、当事務所でも数多くお受けしています。
全国の空き家は約900万戸と過去最多を更新し、その多くが「相続をきっかけに生まれた空き家」です。放置された空き家には、建物の傷みや近隣への迷惑にとどまらない、法律上・税金上の重いリスクが潜んでいます。一方で、売却だけが解決策ではありません。ご自身やご家族が住む、あるいは住宅として貸し出す。この2つの「残す活用」がうまくはまれば、実家は思い出とともに収益や暮らしを支える資産として生き続けます。
このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、空き家を放置してはいけない理由と、実家を空き家にしないための2つの活用方法を、費用の目安や注意点とあわせて、はじめての方にもわかりやすく解説します。
空き家の放置は「何もしていない」のではなく「リスクを積み上げている」状態です。
人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷みます。換気されない室内には湿気がこもって柱や土台が腐り、雨漏りに気づく人もいないまま構造が弱っていきます。「数年放置しただけで、リフォームでは追いつかない状態になっていた」というご相談は、決して珍しくありません。老朽化した空き家は、台風や地震での倒壊、屋根材や外壁の飛散、悪臭や害獣の発生、さらには放火や不法投棄、不審者の侵入といった防犯・防災上の問題を引き起こし、近隣にとって深刻な迷惑となります。
見逃せないのが、所有者の法的責任です。建物の瓦が落ちて通行人がけがをした、ブロック塀が倒れて隣家の車を壊した。このような場合、所有者は民法の工作物責任により損害賠償責任を負い、この責任は「知らなかった」「管理を頼んでいた」では免れられない極めて重いものです。賠償額が数千万円に及ぶ試算例もあり、遠方に住んでいるからこそ、放置は危険なのです。
経済面でも、放置は静かに損失を生み続けます。空き家には毎年の固定資産税・都市計画税に加え、火災保険料、草刈りや通風のための帰省交通費などがかかり、収益ゼロのまま年間数十万円が出ていくご家庭も珍しくありません。しかも、傷んだ家は買い手や借り手からの評価がどんどん下がり、「売りたくなったときには値が付かない」という悪循環に陥ります。管理をシルバー人材センターや空き家管理サービスに頼む場合も月数千円から1万円程度の費用がかかり、それでも建物の劣化そのものは止められません。
行政の目も年々厳しくなっています。空家対策特別措置法により、倒壊の恐れなどがある空き家は「特定空家」に指定され、助言・指導から勧告・命令へと進むと、固定資産税の住宅用地特例が解除されて土地の税負担が最大6倍程度に跳ね上がるほか、行政代執行で強制的に解体され、その費用を請求されることもあります。さらに2023年12月の法改正では、特定空家の予備軍である「管理不全空家」も勧告により特例解除の対象となりました。「壊れるほど傷んでいなければ大丈夫」という時代は、もう終わっています。なお、実家の名義が親御さまのままの方は、2024年4月に義務化された相続登記(3年以内・10万円以下の過料)を済ませることが活用のスタートラインです。
ご自身の生活拠点と、実家の立地・状態。この掛け合わせで答えは変わります。
空き家にしない方法として、売却を除けば、大きく「自分(家族)が住む」か「他人に貸す」かの2つに分かれます。判断の軸はシンプルで、ご自身やご家族の生活圏から通える場所にあり、住まいとして魅力を感じられるなら「住む」を、住むのは難しいが建物にまだ価値があるなら「貸す」を検討する、という順番で考えるのが基本です。
もうひとつ、活用の前に必ず片付けておきたいのが「だれの名義で活用するのか」です。遺産分割協議をしないまま相続人全員の共有状態で貸し出すと、家賃の分け方や修繕費の負担、将来の売却方針をめぐって親族間のトラブルに発展しがちです。活用する人に名義を集める遺産分割協議と相続登記を済ませてから始めることが、長い目で見たいちばんの安全策です。以下で、それぞれのポイントを見ていきましょう。
完全な引っ越しでなくても、「使い続ける」方法はあります。
建物を守るいちばんの方法は、実は「住むこと」です。人が暮らせば換気も通水も自然に行われ、不具合にもすぐ気づけるため、建物の寿命は目に見えて延びます。まずは、本当に住めないのかを一度立ち止まって考えてみてください。
完全に生活拠点を移す必要はありません。週末だけ過ごすセカンドハウスとして使う、リモートワークの拠点にする、お子さまの進学や独立のタイミングで家族の誰かが住む。近年は二拠点居住(デュアルライフ)という暮らし方も広がっており、名古屋市内やその近郊の実家であれば、通勤・通学圏内でこうした使い方がしやすい立地も多いはずです。将来の住み替え候補として「今は使い、いずれ本格的に住む」という時間差の活用も、立派な選択肢のひとつです。
住むまでの段取りとしては、まず家財の片付け(遺品整理)から始まります。業者に依頼する場合の費用は間取りや荷物量にもよりますが、一戸建てで10〜50万円程度が目安です。あわせて電気・ガス・水道の再開手続きを行い、建物の傷み具合が心配な場合は、住宅診断(ホームインスペクション)を受けておくと、リフォームすべき箇所と費用の全体像がはっきりします。
住むと決めた場合は、リフォームの費用を見込みます。長く空き家だった住宅では、キッチン・浴室などの水回りの交換で200〜400万円程度が一つの目安です。多くの自治体には省エネや耐震のリフォーム補助制度があり、特に昭和56年5月以前の旧耐震基準の建物では、耐震診断と耐震改修を補助付きで行えることがあります。あわせて、名義変更(相続登記)と火災保険の契約者・用途の見直しも忘れずに行いましょう。空き家状態のままの保険では、いざというとき補償が受けられない恐れがあります。
家賃収入は魅力。ただし「大家業」のコストとリスクも知ったうえで始めましょう。
ご自身で住むのが難しいなら、住宅として貸し出す方法があります。実は、古い木造の一戸建てはファミリー層を中心に一定の需要があります。庭付き・駐車場付きでペットが飼え、集合住宅より気兼ねなく暮らせる戸建て賃貸は供給が少なく、駅から多少離れていても借り手が付くことは珍しくありません。たとえば月8万円で貸せれば年間96万円。水回りを中心に300万円のリフォームをしても、数年で回収できる計算になります。
家賃の設定は、思い入れではなく相場で決めるのが鉄則です。不動産ポータルサイトで近隣の戸建て賃貸を調べるか、複数の不動産会社に賃料査定を依頼して、立地と建物の状態に見合った金額を把握しましょう。強気の家賃で空室が半年続くより、相場並みで早く入居してもらうほうが、トータルの収入は上になることがほとんどです。
手間が心配な方は、入居者募集や家賃回収、クレーム対応を管理会社に委託できます。委託料は家賃の5%前後が相場で、遠方にお住まいでも大家業は成り立ちます。契約形態も重要です。一般的な普通借家契約は借主の保護が厚く、貸主側の事情では簡単に契約を終了できないため、「いずれ自分や子どもが戻るかもしれない」という方は、期間満了で確実に契約が終了する定期借家契約を選べば、将来の選択肢を残したまま貸せます。そのぶん家賃はやや低めになる傾向がありますが、実家という特別な資産を貸すうえでは検討する価値の大きいしくみです。リフォーム費用をかけたくない場合には、借主が自分の負担で改修する代わりに安い家賃で借りるDIY型賃貸借という方法も国が後押ししており、現状のままでの貸し出しも選択肢になり得ます。
一方で、大家としての責任とリスクも直視しましょう。雨漏りや給湯器の故障などの修繕費は原則として家主負担で、築10年を超えると外壁塗装などで一度に100万円を超える出費が生じることもあります。入居者の入れ替わり時には、経年劣化分は家主負担というルールのもとで原状回復費用も発生します。空室が続けば収入はゼロになり、周辺に競合物件が増えれば家賃の引き下げも避けられません。建物に住宅ローンなどの残債がある場合は、賃貸に出す前に金融機関の承諾が必要なことにも注意が必要です。また、家賃収入は不動産所得として毎年の確定申告が必要になります。管理委託料や修繕費、固定資産税などは経費にできますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。収支計画は「満室前提」ではなく、空室や修繕を織り込んだ控えめな数字で立てることが、後悔しない大家業の鉄則です。
放置だけが選択肢にない。それが相続した実家との正しい向き合い方です。
空き家の放置は、損害賠償や固定資産税の増額といったリスクを日々積み上げる、いちばん避けたい選択です。相続した実家は、住めるなら住む、住めないなら貸す。この2つの「残す活用」を検討し、それでも難しければ売却も含めて出口を考える。この順番で整理すれば、思い出の家を負動産にせずに済みます。大切なのは、相続からあまり時間を置かずに方針を決めることです。建物は待ってくれませんし、迷っている間にも維持費とリスクは積み上がっていきます。多少の手間はかかりますが、実家を活かす道は必ず見つかります。
そして、どの道を選ぶにしても、前提となるのが相続登記です。ごとう司法書士事務所は、司法書士と宅地建物取引士を兼ねる専門家として、名古屋市中区丸の内を拠点に、相続登記から賃貸・売却の比較検討、契約書のチェックまでワンストップでお手伝いしています。女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談にも、お一人おひとりの事情に合わせたオーダーメイドのご提案を心がけています。
▶「実家をどうするか、まだ決めきれない」という段階のご相談こそ歓迎です。
名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。法改正や自治体の制度・補助金、税制の運用は変更される場合がありますので、実際のお手続きにあたっては司法書士などの専門家に最新の取扱いをご確認ください。
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