
名古屋で相続相談・相続登記なら
ごとう相続手続き相談センター
運営:ごとう司法書士事務所・ごとう不動産事務所
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内三丁目15番3号
TCF丸の内ビル6階
契約書に判を押すのは、業者ではなくあなた。だから、中身を知っておきましょう。
相続した実家の売却は、買主が見つかれば一安心——と思われがちですが、実はそこからが最終章の始まりです。売買契約を結び、1〜2か月の準備期間を経て、決済(残代金の受け取りと引き渡し)でゴール。この間には、手付金、ローン特約、契約不適合責任、固定資産税の精算といった専門用語が次々に現れます。仲介業者が段取りはしてくれますが、契約書に署名押印する当事者は、売主であるあなた自身です。
特に相続した不動産の売却では、名義の整理、共有者全員の関与、権利証の確認など、通常の売却にはない論点も加わります。このページでは、司法書士であり宅地建物取引士でもある名古屋市中区丸の内の事務所が、初めて売主になる方のために、売買契約書で確認すべきポイントと、決済当日に何が起きるのか——その段取りと持ち物まで——を、売主の目線でご説明します。読み終えるころには、契約の席に落ち着いて座れるだけの地図が手に入っているはずです。
「いくらで売るか」の次に大事なのは、「どんな条件で約束するか」です。
まず、手付金から。買主は契約時に、売買代金の5〜10%程度の手付金を売主に支払うのが通例です。これは単なる前払い金ではなく、解約手付という重要な意味を持ちます。相手方が履行に着手する(決済の準備行為を始める)までの間なら、買主は手付金を放棄して、売主は受け取った手付金の倍額を返して、それぞれ契約を解除できる——つまり手付金は、契約をやめるときの「値札」でもあるのです。安すぎる手付金は、買主に簡単に手放されてしまう軽い契約を意味しますから、売主としては相場どおりの手付金を受け取っておくことが、契約の安定につながります。なお、受け取った手付金は決済まで使わずに保管しておくのが鉄則です。万一の倍返しに備える意味でも、代金の一部として最後に精算される性質のお金だからです。次に、売主として最も注意したいのがローン特約(融資特約)です。買主が住宅ローンの本審査に通らなかった場合、契約を白紙解除でき、手付金も全額返還する——買主を守るこの特約は、ほとんどの契約に付きます。売主が見るべきは、その期限です。融資承認の期日と解除期限が明確か、長すぎないか。期限が曖昧なまま何か月も「審査待ち」で拘束されると、他の買主に売る機会を失います。期日を区切り、延長には書面の合意を要する形にしておくのが、売主の防衛線です。
三つ目の読みどころは、売主の責任に関する条項です。引き渡した不動産が契約の内容に適合しない場合——雨漏り、シロアリ、設備の故障など——売主は契約不適合責任を負います(制度の詳しい中身は契約不適合責任の記事をご覧ください)。相続した実家は、売主自身が住んでいなかったため物件の状態を知らないことが多く、「知らなかった」では免れられないこの責任との付き合い方が大切です。実務では、責任の期間を引き渡しから3か月程度に限定する、古い建物では建物について責任を負わない特約を付ける、といった調整が行われます。そして何より、知っている不具合は物件状況の告知書に正直に書くこと。隠れていた欠陥より、隠した欠陥のほうが、はるかに重い紛争になります。四つ目は、お金の精算に関する条項です。固定資産税・都市計画税は1月1日時点の所有者に課税されるため、引き渡し日を境に日割りで精算するのが通例です。マンションなら管理費・修繕積立金も同様です。あわせて、土地の面積について公簿売買(登記簿の面積のまま・実測との差は精算しない)か実測売買(測量して差額精算)かも確認を。境界が曖昧な土地では、境界の明示義務が売主にあることも見落とせません(境界の記事でご説明したとおりです)。最後に、相続ならではの確認をひとつ。売買契約は、相続登記を済ませて売主の名義になってから、が大原則です。また、きょうだい共有で相続した物件は全員が売主として契約に関与する必要があり、一人でも欠けた契約はできません。遠方の共有者がいる場合の書類の段取りは、早め早めに動きましょう(遠方の相続人の記事をご覧ください)。契約の場には原則として売主本人の出席が求められますが、やむを得ない場合は委任状による代理も可能です。誰が出席し、誰が委任で済ませるのか——共有者が多いご家庭ほど、契約日の設計も仲介業者と早めに詰めておくと安心です。
決済は約1時間のセレモニー。でも、その安全は事前準備が9割です。
契約から決済までの1〜2か月にやることを整理します。売主側の宿題は4つ。第一に、住宅ローンの残る物件なら、金融機関へ完済と抵当権抹消の段取りを連絡すること(完済済みなのに昔の抵当権が残っていた——という場合の対処は、抵当権抹消の記事でご説明しています)。第二に、荷物の搬出と残置物の処分。「家具はそのままでいい」と口約束せず、残すものがあるなら契約書や付帯設備の書面に明記します。第三に、境界の明示や設備の動作確認など、契約で約束した引き渡し準備。第四に、決済の持ち物の確認です。売主の持ち物は、権利証(登記識別情報)、実印、発行後3か月以内の印鑑証明書、固定資産評価証明書、顔写真付きの本人確認書類、振込先の通帳、そして家中の鍵一式。ここで豆知識をひとつ。相続登記に添付する印鑑証明書には期限がありませんが、売買による所有権移転登記では、売主の印鑑証明書は発行後3か月以内のものが必要です。同じ書類でも場面で期限が違う——相続から売却まで時間が空いた方は、取り直しをお忘れなく(印鑑証明書の記事でご説明した論点です)。
そして決済当日。多くは買主がローンを組む銀行の一室で、売主・買主・仲介業者・司法書士が一堂に会し、おおむね1時間で終わります。進行はこうです。まず司法書士が、権利証・印鑑証明書・本人確認書類を確認し、登記に必要な書類がすべて揃ったことを宣言します。これが合図となって、買主側の融資が実行され、残代金が売主の口座へ振り込まれます。着金の確認がとれたら、固定資産税などの精算金を受け渡し、売主は鍵と関係書類を買主へ、仲介手数料の残金を業者へ。同じ日のうちに、司法書士が法務局へ所有権移転登記(と抵当権の抹消・設定)を申請します。お金の支払いと名義の移転が同じ日に確実に行われるよう、書類の完全性を確認してから初めてお金を動かす——この同時履行の安全装置こそが、決済に司法書士が立ち会う理由です。売却がすべて終わったら、最後の宿題が翌年の確定申告。売却益が出た場合の譲渡所得税の申告と、相続特有の特例(取得費加算・空き家の3,000万円控除など)の適用判断が待っています(売却にかかる税金の記事をご覧ください)。実例をひとつご紹介します。お母様から相続した実家を売却した50代の姉妹のご相談で、妹さんは大阪在住、物件には完済済みの古い抵当権が残ったままでした。当事務所で相続登記と抵当権の抹消を先行して整理し、契約はローン特約の期限を明確にした条項で締結。決済当日は、大阪の妹さんの書類を事前に郵送で整えて姉が代表して出席し、1時間で着金・登記申請まで完了しました。「テレビで見る『契約』のイメージより、ずっと整然としていて安心した」と仰ったとおり、決済は準備が9割。段取りさえ整えば、当日は静かな卒業式のようなものなのです。逆に言えば、権利証が見つからない、印鑑証明書が古かった、共有者の書類が足りない——こうした準備不足は、決済の延期という形で買主にも迷惑をかけ、最悪の場合は違約の問題にもなりかねません。心配の芽は、契約前の確認でひとつずつ摘んでおきましょう。権利証を紛失している場合も、司法書士による本人確認情報の作成など正規の代替手段がありますから、慌てず早めにご相談ください。
契約書のチェックも、決済の立会いも、ひとつの窓口で。
手付・特約・責任・精算。判を押す前の確認をお手伝いします。
当事務所は、相続と不動産を中心業務とする司法書士事務所であり、代表は宅地建物取引士として不動産事務所も経営しています。売買契約の条項を売主の立場で点検し、必要な修正をご提案します。
相続登記・抹消登記・決済。全体の費用を最初にお示しします。
相続登記から売却の決済までを一括でご依頼いただく場合の総額も、事前にご説明し、納得のうえで進めていただけます。
査定から契約・決済まで、宅建業者として一貫対応できます。
仲介業者選びからのご相談はもちろん、当事務所自身が宅建業者として売却を担当することもできます。登記と売買の両方の専門家がいる安心を、ぜひご活用ください。
お気軽にご相談下さい。
手付金は契約の重し、ローン特約は期限を明確に、決済は書類確認が先でお金が後。
売買契約書の読みどころは4か所。手付金は代金の5〜10%の解約手付で、契約の安定の重しになります。ローン特約は買主保護の白紙解除条項で、売主は期日の明確さを確認。契約不適合責任は期間の限定と正直な告知で備え、固定資産税は引き渡し日で日割り精算します。相続物件は、相続登記を済ませてから契約、共有なら全員が売主、売買用の印鑑証明書は3か月以内と覚えてください。決済当日は、司法書士の書類確認→融資実行・着金→鍵の引き渡し→即日の登記申請という同時履行の約1時間。終われば翌年の譲渡所得の申告まで見届けて、売却は完結します。契約書のチェックから決済の立会いまで、登記と売買の両方の目を持つ私たちにお任せください。
ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、「難しいことを簡単に」という理念のもと、法律用語の誤解がトラブルにつながらないよう、家族や相続人の方によってすべて異なる相続の形に個別に対応しています。相続登記から売買契約書の点検、抵当権の抹消、決済の立会い、売却後の税の申告のご案内まで、司法書士と宅地建物取引士の両輪で、女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も丁寧にお受けしています。
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※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。契約条項の内容は取引ごとに異なりますので、実際のお手続きにあたっては専門家にご確認ください。
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