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遺言書の付言事項とは?例文と書き方を名古屋の司法書士がやさしく解説

遺言の最後の数行のお話|財産の行き先より、心の行き先を書くところ

 

法的効力はゼロ。それなのに、遺言の成否を分けることがある不思議な数行です。

遺言書は、財産を誰に渡すかを法律の力で決める書面です。「自宅は妻に」「預金は長男に」——この本文の部分には法的な効力があり、書き方のルールも厳格です。ところが遺言書には、もうひとつの顔があります。本文の後に自由な言葉で添える、付言事項。家族への感謝、分け方の理由、残される人たちへのお願い——ここに書いた言葉に、法的な効力は一切ありません。

それなのに、長年相続のご相談をお受けしてきた実感として申し上げると、争いを防ぐ力がいちばん強いのは、しばしばこの数行です。同じ「長男に多く」という遺言でも、理由の書かれていない遺言は不信と怒りを生み、理由と感謝の書かれた遺言は納得を生む。相続争いの火種は金額そのものより「なぜ」の欠落にあるからです。このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、付言事項の意味と効き方、感謝・理由・お願いの三段で書く型と場面別の例文、そして書いてはいけない内容までを、実例を交えてご説明します。

1 付言事項とは|法的効力がないのに「一番効く」理由と書ける内容

読み上げられた瞬間に、部屋の空気が変わる。付言には、そういう力があります。

まず、遺言書の構造から整理しましょう。遺言書に書いて法的な効力が生じる事項は、法律で決まっています。財産の分け方(相続分の指定や遺産分割方法の指定)、遺贈、遺言執行者の指定、子の認知、お墓や仏壇を承継する祭祀主宰者の指定——こうした法定遺言事項が、遺言の本文です。一方、付言事項は、本文の後に添える自由な文章で、何を書いても構いませんが、何を書いても法的な拘束力はありません。「兄弟仲良く」と書いても仲良くする義務は生じませんし、「遺留分は請求しないでほしい」と書いても、請求する権利は消えません。では、なぜ書くのか。相続争いの現場を知る者として言えるのは、もめ事の火種は金額の多寡そのものより、「なぜ自分はこの扱いなのか」という理由の欠落だということです。介護をした長女に多く遺す、事業を継ぐ長男に自社株を集中させる——合理的な分け方であっても、理由が書かれていなければ、他の相続人には「愛情の差」として届いてしまう。逆に、「次女のあなたには嫁ぎ先で苦労をかけたのに、何もしてやれなかった。少ない取り分を許してほしい。あなたの笑顔に何度も救われました」という一文があれば、同じ金額が全く違う意味を持ちます。遺言の内容に不満を持った相続人が、付言を読んで矛を収めた場面を、私たちは何度も見てきました。法的効力がないからこそ、命令ではなく語りかけとして届く——それが付言の力の正体です。

 

書ける内容を挙げておきましょう。代表的なのは、①家族への感謝のことば、②財産の分け方の理由、③遺留分の行使を控えてほしいというお願い(拘束力はありませんが、理由とセットで書かれた願いには現実の抑止力があります)、④葬儀や供養についての希望(家族葬にしてほしい、散骨してほしいなど。これも希望として)、⑤形見分けやペットの世話の希望、⑥残される配偶者を支えてほしいという子への願い——などです。なお、祭祀主宰者の指定のように、本文に書けば法的効力を持たせられる事項もありますから、「希望」で足りるのか「指定」すべきなのかの振り分けは、遺言全体の設計の一部です。付言は自筆証書遺言にも公正証書遺言にも書くことができ、公正証書の場合は公証人に伝えた内容が付言として記載されます。位置は本文の後が通例で、長さに決まりはありませんが、便箋一枚分、数百字程度までに収めるのが読み手に届きやすい分量です。なお、自筆証書遺言では付言部分も本文と同じく自書が原則です。書き直しの際に付言だけ古い気持ちのまま残ってしまわないよう、遺言を書き換えるときは付言も読み返す習慣をおすすめします。家族の状況が変われば、伝えたい言葉も変わるものだからです。

2 書き方の型と例文|感謝・理由・お願いの三段と、禁じ手

うまく書こうとしなくて大丈夫。順番さえ守れば、言葉は自然に並びます。

書き方の型をご紹介します。おすすめは、感謝→理由→お願いの三段構成です。第一段は、感謝。配偶者へ、子どもたちへ、世話になった人へ、まず「ありがとう」から始めます。冒頭に感謝があるだけで、遺言全体の響きが変わります。財産の話より先に気持ちの話がある——その順番そのものが、読み手への思いやりとして伝わるのです。第二段は、理由。この遺言の分け方をなぜ選んだのか、自分の言葉で説明します。ここが争い予防の心臓部です。「長女には同居して介護の苦労をかけたから」「長男には家業を継ぐ負担を引き受けてもらうから」——合理的な理由でなくても構いません。本人の言葉で語られていること自体に意味があります。第三段は、お願い。遺留分への配慮、きょうだいの仲、残る配偶者のこと——強制はできないと知ったうえで、願いとして言葉にします。例文をひとつ示しましょう。「妻の花子へ。五十年、私のわがままに付き合ってくれてありがとう。自宅と預金の多くをあなたに遺すのは、住み慣れた家で安心して暮らしてほしいからです。長男の太郎、二男の次郎へ。母さんを頼みます。取り分に差をつけたのは、太郎に会社の借入の保証を引き継いでもらうためで、愛情の差では決してありません。どうか二人で力を合わせ、この遺言について争うことのないよう、父の最後の願いとして記します」。事業承継の場面なら「会社を継ぐ太郎に株式を集中させるのは、会社と従業員の生活を守るためです。次郎と三郎には預金と保険で報いるつもりですが、足りない分は、兄を支えることで許してほしい」といった形になります。

 

次に、禁じ手です。第一の禁じ手は、恨み言と非難。「次男には散々苦労させられた」「嫁には世話にならなかった」——気持ちは分かりますが、非難された相続人は態度を硬化させ、遺言の有効性自体を争う動機にもなります。付言は最後のメッセージであると同時に、残る家族が何度も読み返す文章です。怒りは書かない。これは鉄則です。第二の禁じ手は、本文と矛盾する内容。本文で「自宅は妻に」と書きながら付言で「ゆくゆくは長男に住んでほしい」と書くと、解釈の争いの種になります。第三の禁じ手は、法的効力が必要なことを付言に書くこと。「預金は長女に多めに」のような財産の指示を付言に書いても効力はありません。効力が要ることは本文へ、気持ちは付言へ——この仕分けを間違えると、遺言全体が台無しになります。あわせて、エンディングノートとの役割分担も整理しておきましょう。延命治療の希望、交友関係、デジタル機器の情報など、分量のある情報はエンディングノートに(それ自体に法的効力はありません)、財産の処分は遺言の本文に、心のメッセージは付言に——三つの道具の使い分けです(エンディングノートの記事もご覧ください)。実例をひとつご紹介します。長年連れ添ったご主人を亡くした70代の奥様のご相談で、遺言の内容は「大半を妻へ、子二人には少なめ」というもの。お子さんたちは当初不満げでしたが、公正証書の最後の付言——「子どもたちへ。母さんは、父さんの看病で自分の時間を全部使ってくれた。母さんが生きている間は、母さんのために財産を使ってほしい。二人への本当の相続は、母さんを見送った後だと思ってくれ」——が読み上げられると、長男さんが「親父らしいな」と笑い、その場の空気がほどけました。手続きはそのまま円満に進み、お二人は今もお母様を支えています。法律が決めるのは財産の行き先だけ。家族の関係の行き先を決めるのは、言葉なのです。付言を書くことには、もうひとつ副産物があります。理由を言葉にしようとすると、分け方そのものの検討が深まるのです。「なぜ長男に多く?」と自問して答えに詰まるなら、その分け方は本文から見直すべきサイン。付言は、遺言の内容を点検する鏡でもあります。

3 名古屋のごとう司法書士事務所の特徴|言葉の設計までお手伝い

本文の設計と、付言の言葉選び。遺言はセットでお手伝いします。

個別対応します|お気持ちの聞き取りから

なぜその分け方なのか。理由を言葉にするお手伝いから始めます。

当事務所は、相続と不動産を中心業務とする司法書士事務所であり、代表は宅地建物取引士として不動産事務所も経営しています。遺言の内容設計とあわせて、付言に込めるお気持ちの整理もお手伝いします。

明瞭会計です|遺言作成の費用を事前に

自筆のサポートから公正証書の段取りまで、費用を最初にお示しします。

遺言の方式ごとの費用と流れを事前にご説明し、納得のうえで進めていただけます。

不動産のプロとして、分け方の土台づくりも

自宅や収益物件の評価を踏まえた、現実的な分け方をご提案します。

 

宅建業者として査定ができる当事務所なら、不動産の価値を踏まえた本文の設計と、それを伝える付言まで、一貫してお手伝いできます。

最後に ~相続の形は人それぞれ~

お気軽にご相談下さい。

効力が要ることは本文へ、気持ちは付言へ。感謝・理由・お願いの三段で。

付言事項は、遺言書の本文の後に添える自由な文章で、法的効力はありませんが、相続争いを防ぐ力は本文に勝るとも劣りません。争いの火種は金額より「なぜ」の欠落——分け方の理由と感謝が書かれた遺言は、同じ内容でも納得を生みます。書き方は感謝→理由→お願いの三段構成で、便箋一枚分まで。遺留分への配慮のお願い、葬儀や供養の希望、残る配偶者を支えてほしいという願いも付言の出番です。禁じ手は、恨み言と非難、本文との矛盾、そして効力が必要な指示を付言に書くこと。エンディングノート・本文・付言の三つの道具を使い分け、財産の行き先と気持ちの行き先の両方を設計する——そして理由を言葉にする作業は、分け方そのものを点検する鏡にもなります。本文の設計から付言の言葉選びまで、私たちにお任せください。

ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、「難しいことを簡単に」という理念のもと、法律用語の誤解がトラブルにつながらないよう、家族や相続人の方によってすべて異なる相続の形に個別に対応しています。遺言書の設計・作成サポートから、公正証書の段取り、遺言執行、相続登記、不動産の評価・売却まで、司法書士と宅地建物取引士の両輪で、女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も丁寧にお受けしています。

▶「財産の分け方は決めたけれど、気持ちをどう書けばいいか」。その言葉探し、ご一緒します。無料相談を承っている名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)まで、お気軽にお問い合わせください。


 

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。遺言の方式や記載内容の適否は個別の事情により異なりますので、実際の作成にあたっては専門家にご相談ください。

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