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ごとう相続手続き相談センター
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TCF丸の内ビル6階
借金はその人のもの。でも、相続した財産は債権者の引当てになります。
「二男に消費者金融の借金があるんです。実家を相続させたら、差し押さえられてしまいますか」「弟が事業に失敗していて、遺産分割をどう進めればいいか」——こうしたご相談は、決して珍しくありません。相続人の中に、多重債務、事業の失敗、保証債務、税金の滞納などを抱えた方がいる場合、遺産分割は通常とは別の注意が必要になります。借金があっても相続する権利は失われませんが、その人が相続した財産は、債権者から見れば回収の引当て。実家の持分が差し押さえられ、見知らぬ業者が共有者として登場する——そんな事態が、現実に起こり得るのです。
一方で、「取り分をゼロにする協議書を作ればいい」という素朴な対策には、詐害行為として取り消されるという法律上の落とし穴が待っています。やってよい対策と、危ない対策の線引きはどこか。このページでは、名古屋市中区丸の内の司法書士が、借金のある相続人がいる場合に起きること、相続放棄という正攻法と協議の危うさの違い、分割後すぐに登記すべき理由、そして何より有効な生前の備えまでを、実例を交えてご説明します。
債権者は、相続を待っています。遺産は、彼らにとって最後の回収機会だからです。
まず、原則の確認から。相続人の一人に借金があっても、他の家族がその借金を肩代わりする義務はありませんし、借金を理由にその人の相続権を奪うこともできません。借金のある二男も、他のきょうだいと同じ相続人です。問題は、その先にあります。二男が遺産分割で実家の持分や預金を取得すると、それは二男の財産になります。そして二男の財産は、二男の債権者にとって差押えの対象です。実家の持分4分の1が差し押さえられ、競売にかけられれば、持分を買い取った業者が共有者として現れて、他の家族に買取りを迫る——持分買取業者をめぐるこうした紛争は、現実に起きています(放置名義を狙う者たちの話は、地面師の記事でもご説明しました)。さらに知っておいていただきたいのが、債権者は遺産分割を待ってくれるとは限らないという事実です。債権者は、債務者である相続人に代わって法定相続分どおりの相続登記を申請し(代位登記)、その持分を差し押さえることができます。家族が「実家は長男に」と話し合っている最中でも、登記簿に差押えの登記が入り得るのです。
もうひとつ、法律の重要なルールがあります。遺産分割で法定相続分を超える財産を取得しても、登記をしなければ、その超えた部分を第三者に主張できない——民法899条の2のルールです。たとえば協議で「実家はすべて長男に」と決めても、登記をしないまま放置している間に二男の債権者が二男の法定相続分4分の1を差し押さえたら、長男はその4分の1について「協議で自分のものになった」と対抗できません。つまり、借金のある相続人がいる遺産分割では、協議がまとまったら即、登記が鉄則中の鉄則。協議書の日付と登記の申請日は、できる限り近づけてください。そして、見落としがちな第三の問題が、隠れた借金です。本人が家族に借金を打ち明けていないケースは多く、協議をまとめ、登記も済ませた後に督促状で発覚することもあります。相続人どうしでも、お金の話は切り出しにくいもの。しかし、この記事で見てきたとおり、一人の借金は分け方の設計全体を変える事情です。協議の前に、言いにくいことを言える場を作る——それも、専門家が間に入る価値のひとつだと私たちは考えています。心当たりがある場合は、本人の了解を得たうえで、信用情報機関への開示請求や郵便物の確認など、借金の全体像をつかむ調査から始めるのが安全です(調べ方は、親の借金の調べ方の記事でご説明した方法がそのまま使えます)。
同じ「渡さない」でも、入口が違えば結論が変わります。
では、どう対処するか。選択肢を危険度の順にご説明します。もっとも安全な正攻法は、本人による相続放棄です。家庭裁判所で相続放棄をすれば、その人は初めから相続人でなかったことになり、遺産は他の相続人に渡ります。ここで大切な判例の知識をひとつ。相続放棄は、債権者がそれを詐害行為だとして取り消すことはできない、とされています。相続放棄は財産の処分ではなく、相続人の地位に関わる行為(身分行為)だから、というのが最高裁の考え方です。つまり、借金のある本人が「自分が相続すると取られるだけだから、放棄して親の家を守りたい」と自分の意思で選ぶなら、それは法的に守られた選択なのです。注意点は2つ。放棄は本人の自由意思で行うものであり、家族が強要してよいものではないこと。そして期限は、相続開始を知ってから3か月以内であることです。これに対して、危険なのが「取り分ゼロの遺産分割協議」です。相続はするが、協議で何も取得しない——結果は放棄と似ていますが、法律上の扱いはまるで違います。遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為であり、債務超過の相続人が取り分を放棄するような協議は、債権者から詐害行為として取り消しを求められ得る——これも最高裁の判例が示した考え方です。取り消されれば、せっかくの協議が覆り、紛争は振り出しより悪い場所に戻ります。相続分の譲渡(自分の相続分を他の相続人に譲る方法)も、財産の処分である以上、同じリスクを抱えます。「放棄は安全、ゼロ協議は危険」——この非対称を、まず覚えてください。同じ「財産を受け取らない」という結果でも、法律は入口の違いを厳密に見分けます。手続きの選び方ひとつで、家族の協議が守られるか覆されるかが分かれる。この分野が、自己流で進めてはいけない典型と言われるゆえんです。
もっとも、すべての事案でゼロ協議が取り消されるわけではありません。本人が借金はあるものの支払い能力を保っている場合や、取り分に見合う代償を受けている場合など、事情によって判断は分かれます。ただ、リスクの線引きは専門的で、債権者との紛争の火種を家族に残す選択であることは確かです。迷う事案は、協議の前にご相談ください。そして、実は一番有効なのが、親が元気なうちの生前対策です。相続が始まってからの対処は「本人の放棄」頼みですが、生前なら、遺言で分け方を設計できます。借金のある子には不動産を渡さず、他の子に相続させる遺言を作る——遺言による取得は本人の協議を要しないため、差押えの入り込む隙を減らせます。ただし、遺言でも遺留分(最低限の取り分)までは奪えませんから、遺留分相当は現金で手当てする、生命保険(受取人固有の財産です)は借金のない家族を受取人にしておく、といった組み合わせの設計が必要です。借金を理由に相続権自体を奪う「廃除」という制度もありますが、認められる要件は虐待や重大な侮辱などに限られ、借金だけでは通りません(廃除と欠格の記事でご説明したとおりです)。実例をひとつご紹介します。80代のお母様のご相談で、三人のお子さんのうち二男に事業の負債が数百万円あることが分かっていました。当事務所で、お母様の公正証書遺言——自宅と預金は長男と長女へ、二男には遺留分に配慮した現金と、付言事項で「あなたの再起を信じている。家を残すためのこの形を許してほしい」という言葉——を作成。数年後に相続が開始した際、二男さんは内容に納得し、遺留分の現金を受け取って手続きは1か月で完了しました。借金のある本人を、責める形ではなく守る形で設計する。それがこの問題の、いちばん円満な解き方なのです。付け加えるなら、借金の問題は時間とともに姿を変えます。完済して立ち直ることもあれば、自己破産で整理されることもある。だからこそ遺言は一度作って終わりではなく、家族の状況が変わるたびに点検し、書き直せばよいのです。今の状況に合わせて、今できる最善の形を作っておく——そう考えれば、重い話も少し軽く扱えるはずです。
放棄・協議・遺言。安全な道筋の見極めからお手伝いします。
借金の有無と額で、最適な設計は変わります。秘密は守ります。
当事務所は、相続と不動産を中心業務とする司法書士事務所であり、代表は宅地建物取引士として不動産事務所も経営しています。ご家族の事情に合わせ、放棄の書類作成から遺言の設計まで対応します。
放棄・登記・遺言。それぞれの費用と期限を最初に整理します。
3か月の放棄期限など、時間の制約も含めた全体計画を事前にご説明し、納得のうえで進めていただけます。
分割後すぐの登記と、共有を避ける分け方で、差押えの隙をなくします。
宅建業者である当事務所なら、不動産の評価を踏まえた単独名義の設計と迅速な登記で、持分をめぐる紛争を予防できます。
お気軽にご相談下さい。
放棄は安全、ゼロ協議は危険、本命は生前の遺言。協議後は即登記。
相続人の一人に借金があっても相続権は失われませんが、その人が取得した財産は債権者の差押えの対象になり、債権者は法定相続分の代位登記で遺産分割を待たずに持分を押さえることもできます。協議で法定相続分を超えて取得した分は、登記しなければ第三者に対抗できないため、協議成立後は即登記が鉄則。対処は、本人の意思による相続放棄が正攻法(詐害行為になりません・3か月以内)、取り分ゼロの協議や相続分の譲渡は詐害行為取消のリスクを抱えます。最善は生前対策——借金のある子に不動産を渡さない遺言と、遺留分への現金手当て、保険受取人の設計です。同じ「受け取らない」でも入口の違いで結論が分かれる、自己流の危険な分野です。本人を責めず、家族の財産を守る設計を、私たちと一緒に。
ごとう司法書士事務所は、名古屋市中区丸の内を拠点に、「難しいことを簡単に」という理念のもと、法律用語の誤解がトラブルにつながらないよう、家族や相続人の方によってすべて異なる相続の形に個別に対応しています。相続放棄の書類作成、遺産分割協議と迅速な相続登記、遺言による生前設計、不動産の評価・売却まで、司法書士と宅地建物取引士の両輪で、女性やご高齢の方、外国籍の方のご相談も丁寧にお受けしています。
▶「家族の借金のこと、誰にも相談できずにいました」。その事情ごと、安全な道筋に変えましょう。無料相談を承っている名古屋のごとう司法書士事務所(フリーダイヤル0120-290-939)まで、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。詐害行為に当たるかどうかの判断は個別の事情により異なりますので、実際のお手続きにあたっては専門家にご相談ください。
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