
名古屋で相続相談・相続登記なら
ごとう相続手続き相談センター
運営:ごとう司法書士事務所・ごとう不動産事務所
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内三丁目15番3号
TCF丸の内ビル6階
相続というものは、多くの方にとって人生で何度も経験するものではありません。特に親族が亡くなられた際には、悲しみの中で多くの手続きや整理を進めなければならず、精神的にも大きな負担となります。その中でも「相続登記」は、不動産を相続した際に必ず行わなければならない大切な手続きの一つです。近年は相続登記の義務化が法改正により進められたこともあり、ますます多くの方が早めの対応を求められるようになっています。
通常、日本での相続登記は、日本国籍の方同士の相続を前提として説明されることが多いのですが、実際には、国際結婚や海外在住の方、外国籍の方が日本の不動産を所有しているケースも少なくありません。特に日本と歴史的・地理的に関わりの深いお隣の韓国の国籍をお持ちの方が、日本国内に不動産を所有されているケースも多く見受けられます。長年にわたり日本で生活を営んでこられた韓国籍の方や、そのご家族が日本国内で不動産を所有し、相続を迎えるケースは決して珍しくありません。
しかし、韓国籍の方が亡くなられた場合、日本の不動産の相続登記を進めるには、日本人同士の相続とは異なる独特の制度や法律の違いを踏まえた手続きが必要となります。これは、日本と韓国とで相続に関する法制度が異なるためです。たとえば、相続人の範囲、法定相続分、必要となる戸籍関係書類の種類、書類の形式、翻訳の有無など、多くの場面で日本の制度とは異なる対応が求められるのです。そのため、相続登記を正しく進めるには、日本法だけでなく韓国法の知識も必要になり、戸惑われる方が多くいらっしゃいます。
また、韓国は日本とは異なる「家族関係登録制度(旧戸籍制度)」を採用しており、相続人を確定するためには、この韓国の家族関係証明書や基本証明書、除籍謄本などの各種書類を収集し、日本語に翻訳した上で法務局に提出する必要があります。これらの書類の取得方法や、どの書類が必要となるかの判断は、一般の方には非常に分かりづらいものです。さらに、日本語訳文の正確性についても法務局から厳密に確認されることがあり、翻訳の質や証明力も問われます。
加えて、相続登記に際しては、日本国内での遺産分割協議書の作成、相続税申告、外国人名義の登記表記など、日本独自のルールも重なります。これらの手続きは、韓国籍の相続人の方が韓国にお住まいの場合や、日本に住所を有していない場合にはさらに煩雑さが増す傾向にあります。そのため、相続人の方々が「どこに、何を、どの順番で相談すればよいのか分からない」と困惑されるケースも少なくありません。
このように、韓国籍の方の日本国内における不動産相続は、法律・登記・税務の各分野が密接に絡み合った非常に専門性の高い分野と言えます。手続きを適切に進めるためには、法律の知識はもちろん、実務経験に裏打ちされた判断力と、的確な書類作成能力が欠かせません。専門家のサポートを得ることで、ご家族の大切な資産を円滑に次世代へと受け継ぐお手伝いが可能となります。
本記事では、韓国籍の方が日本の不動産を相続する際に必要となる相続登記の手続きについて、わかりやすく丁寧にご説明してまいります。ご家族の大切な財産を守り、安心して未来へと引き継いでいくための一助となれば幸いです。
相続手続きは、多くの方にとって突然直面する非常に複雑な法律問題です。特に、被相続人が外国籍の場合には、日本国内の相続手続きであっても、その内容は外国法に基づいて進める必要があるケースがあります。被相続人が韓国籍である場合もまさにその典型であり、日本の不動産を相続する際にも、相続の内容は日本法ではなく韓国法に基づいて判断されるのが原則です。
この取り扱いは、日本の「法の適用に関する通則法」第36条に定められています。同条では、「相続は被相続人の本国法による」とされており、たとえ相続財産が日本国内に存在していても、被相続人が韓国籍であれば、韓国の法律(韓国民法)が相続内容を規律する準拠法となります。登記申請は日本の法務局で行いますが、登記原因(相続)の中身は韓国法で決定されます。
この「準拠法の違い」を正確に理解することは、韓国籍の方の相続登記を行う際に極めて重要です。相続人の範囲、法定相続分、遺言の有効性、必要書類等、手続き全体の内容が日本法とは大きく異なるからです。
韓国民法第1000条は、法定相続人の順位を次のように定めています。
第1順位:直系卑属(子、孫など)
第2順位:直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位:兄弟姉妹
第4順位:傍系血族(四親等内の血族)
※ 配偶者は常に相続人となり、上記順位の者がいればその者と共同相続する(第1000条第2項)。
ここまでは日本法と大きくは似ていますが、細部で重要な違いがあります。
韓国民法第1003条により、直系卑属・直系尊属がいない場合には配偶者が単独で相続すると定められています。
したがって、実務上は主に以下のようになります。
| 相続順位 | 相続人 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 配偶者と子(直系卑属) | 共同相続 |
| 第2順位 | 配偶者と直系尊属(父母など) | 共同相続 |
| 直系卑属・尊属なし | 配偶者単独相続 | 兄弟姉妹は相続権なし |
韓国民法第1009条において、法定相続分は次のように定められています。
配偶者の相続分は子の1.5倍とする。
具体的には以下の通り計算されます。
| 配偶者と子の人数 | 配偶者の相続分 | 子の相続分(各人) |
|---|---|---|
| 配偶者+子1人 | 配偶者3/5、子2/5 | |
| 配偶者+子2人 | 配偶者3/7、各子2/7 | |
| 配偶者+子3人 | 配偶者3/9(=1/3)、各子2/9 |
※ 比率は「配偶者:子 = 1.5:1」を基礎に計算されます。
配偶者の相続分は直系尊属の1.5倍とする。
たとえば、配偶者+父母2人が相続人の場合:
配偶者:1.5
父:1
母:1
合計:3.5
これを按分すると、
配偶者 1.5 ÷ 3.5 = 3/7
父 1/3.5 = 2/7
母 1/3.5 = 2/7
配偶者が全てを単独相続します(第1003条)。
日本民法では、配偶者の法定相続分は
直系卑属と共同相続 → 配偶者1/2、子1/2
直系尊属と共同相続 → 配偶者2/3、尊属1/3
となっており、日本法よりも韓国法の方が配偶者の保護が手厚い制度となっています。
2.日本で相続登記を行う際に必要となる書類
韓国籍の方が日本国内に不動産を所有していた場合、その方が亡くなると、日本の法務局に相続登記(所有権移転登記)を申請する必要があります。日本国内の不動産については、外国籍であるか否かに関わらず、法務局への登記申請が必要である点は日本人の相続と変わりません。ただし、韓国籍の方の場合は、相続関係を証明する書類として、韓国独自の家族関係登録制度に基づく書類を用意し、日本の法務局に提出しなければならない点に大きな違いがあります。
ここでは、日本での相続登記申請に必要となる具体的な書類と、その準備方法について、実務に即して詳しく説明します。
韓国籍の方の相続では、日本でいう戸籍制度に相当する「家族関係登録簿」による証明書を取得することが必要となります。これらの書類は韓国国内の管轄機関や在日韓国領事館で発行を受けることができます。
被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの身分事項を証明する中心的な書類です。
出生日、婚姻事項、死亡日などが記載されており、死亡事実についてもここに記載されます。
日本法でいう戸籍の「個人事項証明書」に相当します。
被相続人とその家族(配偶者、子、親など)との関係を証明する書類です。
相続人を確定するために極めて重要な書類となります。
被相続人の婚姻歴を確認し、配偶者の有無を証明する書類です。
配偶者が法定相続人となるため、必須書類となります。
被相続人の過去の家族関係の全履歴を確認する書類です。
死亡事実だけでなく、過去に出生した子や婚姻・離婚等の履歴を確認するために利用されます。
相続人が他にいないか、あるいは既に死亡している子がいないか等の確認資料として重要です。
死亡の事実そのものを証明する目的というよりも、相続関係全体の確定に必要とされます。
原則、基本証明書の死亡記載で足りますが、法務局から補足を求められる場合や、死亡日確認の証明力を高めたい場合に添付することがあります。
相続人の身分関係を証明するため、相続人全員についても家族関係証明書・基本証明書等を取得する必要があります。
これら韓国発行の各種証明書はすべて日本語訳文を添付して提出します。
法務局は日本語の公用文書で審査を行うため、外国語のままでは受理されません。
翻訳は原則、相続人自身でも可能ですが、専門的な法的用語や表現が多いため、実務上は司法書士や専門翻訳業者が行うことが推奨されます。
翻訳文には「翻訳者氏名・住所・翻訳日・翻訳の正確性を証明する旨」を記載します。
韓国独特の行政用語を日本法務局実務に即した用語で正確に翻訳することが極めて重要です(例:「기본증명서」→「基本証明書」)。
韓国の家族関係書類をもとに、日本法務局向けに作成します。
相続人全員の関係を簡潔に示す日本語の図表で、登記審査時にあると便利になります。
相続人が複数いる場合は必要となります。
各相続人がどの財産を取得するかを合意した文書です。
日本語で作成し、相続人全員の署名押印が必要です。
韓国在住の相続人の場合は、署名証明書(서명증명서)等の添付が必要となります。
日本法務局への登記用書式です。
原則、相続原因は「相続」、原因日は被相続人の死亡日(韓国書類上の死亡日)を記載します。
日本国内の不動産登記に伴う税金(固定資産評価額の0.4%)を計算して納付します。
日本の市区町村役場で取得します。
不動産ごとの評価額を記載した証明書で、登録免許税の算定に使用されます。
日本在住の相続人 → 印鑑証明書
韓国在住の相続人 → 署名証明書等
韓国籍相続は日本法務局でも専門的な審査が行われます。特に以下のポイントで補正命令が出やすいため、慎重な準備が必要です。
韓国書類と日本語訳の整合性
翻訳誤りはしないようにしましょう。
家族関係登録簿制度の理解不足
日本法務局職員が制度に不慣れな場合もあるため、説明資料を添付することもある。
死亡日や婚姻日等の日付不整合
和暦と西暦の混同、日付記載の誤差に注意。
遺産分割協議書の署名証明の形式不備
韓国在住相続人の署名証明の有無・書式は事前確認が必要。
韓国籍のご家族が亡くなられ、日本にある不動産を相続する場合、「相続登記」という手続きを日本の法務局で行う必要があります。ただ、日本人同士の相続とは少し違う準備や流れがありますので、ここではできるだけわかりやすく、全体の流れや注意するポイントをご説明します。
韓国籍の方の相続登記は、基本的には次のような順序で進めます。
1.相続人を確認する
まずは、亡くなられた方の韓国の家族関係登録簿という書類を取得して、誰が相続人になるのかを確認します。韓国籍の場合、日本の戸籍ではなく、韓国の書類をもとに家族関係を証明します。
2.相続分(取り分)を計算する
韓国の法律に従って、配偶者やお子さんがどのくらいの割合で相続するのかを決めます。実は、韓国では法律が変わり、たとえば配偶者とお子さんが相続する場合には「配偶者が子どもの1.5倍」多く相続する仕組みになっています。つまり、配偶者の取り分がやや多めになっています。
3.書類をそろえる
相続人を証明する韓国の書類を揃え、日本語に翻訳します。その上で、登記に必要な日本の書類も用意します。必要な書類については、前の章で詳しくご説明した通りです。
4.不動産を誰が取得するか話し合う
相続人が複数いる場合は、話し合い(遺産分割協議)をして、不動産を誰が相続するのかを決めます。
5.法務局に登記申請をする
書類がすべて整ったら、日本の法務局に登記申請をします。無事に受理されると、不動産の名義変更が完了します。
日本の法務局にとって、韓国籍の相続登記は少し特殊な手続きとなるため、次のような点に気をつけると手続きがスムーズになります。
・韓国の書類は正確な翻訳が必要です
日本語に訳して提出する必要がありますが、翻訳が不正確だと法務局で受理されず、補正(やり直し)が必要になることがあります。
・法律の改正を正しく適用する必要があります
相続が始まった日(死亡日)によって適用される韓国の法律が異なります。ほとんどの場合は配偶者の取り分が多くなる新しい法律が適用されます。
・相続人の身分を証明する書類が日本の戸籍とは違います
韓国では「家族関係登録簿」に基づく複数の書類を用意する必要があります。これが日本の戸籍とは異なる点です。
・署名証明などが必要になることがあります
韓国に住んでいる相続人がいる場合は、日本でいう印鑑証明書のような「署名証明書」が必要になることがあります。
韓国籍の相続登記は、日本人同士の相続登記に比べて、法律の違いや書類の集め方、翻訳など、注意しなければならないことがいくつもあります。最初から専門家に相談して進めた方が、無駄な時間や労力を使わずに済むケースが多いのが実情です。
当事務所では、司法書士兼宅地建物取引士として、こうした国際相続のご相談も数多く承っております。韓国籍の相続登記でお困りの方も、どうぞお気軽にご相談ください。
韓国籍のご家族が日本国内に不動産を所有されていた場合、その方が亡くなると「相続登記」という手続きが必要になります。この相続登記は、日本国内の法務局で行いますが、手続きの内容自体は韓国の法律に従って進めていくのが大きな特徴です。
韓国の相続法は、最近も法律改正が行われており、特に配偶者と子どもの相続分の計算方法が大きく変更されています。これにより、配偶者の相続分が以前より手厚く保護される制度となりました。日本人同士の相続と比べて、韓国籍の相続では必要な書類の種類や集め方、翻訳の手続きなど、細かな違いが多くあります。
日本の戸籍ではなく、韓国の「家族関係登録簿」という制度に基づいた各種証明書を揃える必要があり、これを日本語に正確に翻訳した上で法務局に提出します。また、遺産分割協議書の作成方法や、韓国に住む相続人の署名証明など、日本国内ではあまり馴染みのない準備も必要になることがあります。
このように、韓国籍の相続登記は日本の相続登記に比べて手続きが複雑になりがちです。しかし、正しい順序で一つひとつ準備を進めていけば、きちんと登記を完了させることができます。何よりも重要なのは、最新の法律に基づいて正確に手続きを進めることです。
当事務所では、司法書士兼宅地建物取引士として、不動産と相続の専門家の立場から、韓国籍の相続登記についても多数のご相談を承っております。初めての方にもわかりやすく丁寧にご説明し、必要な手続きをしっかりとサポートさせていただきます。もしお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お気軽にご相談下さい。
名古屋のごとう司法書士事務所の司法書士後藤です。
私が、みなさまの相続登記の相談を担当させて頂きます。
私が、司法書士として独立し、ごとう司法書士事務所を立ち上げた頃、決めていたことがあります。
「難しいこと簡単に」してストレスなく法律手続きを依頼者の方に提供したいという理念です。
大学の法学部の時から感じていましたが、やはり法律用語は解釈が難しいです。一般常識の言葉と法律用語の言葉では同じ漢字でも意味合いが少し違うことが往々にしてあります。そういった誤解からトラブルに発展することもよくあります。
どうしたらストレスなく法律的な話を伝えられるか。いつも自問自答しながら試行錯誤を今でも繰り返しています。
常により良いサービスをしたいと思い、私自身が宅地建物取引士の登録をして不動産売買の仲介業務するようになりました。今では、法律や登記が得意な司法書士と不動産実務が得意な宅地建物取引士はとても相性がよいと感じています。間違いなく、不動産に関しては専門性や優位性を持つことができると感じています。
相続のやり方や進め方は、家族や相続人の方によってすべて異なります。みなさまに合ったやり方や進め方で臨機応変にかつスムーズに相続手続きを進めることを心掛けています。
また、司法書士業務のデジタル化にも積極的に取り組んでいます。最新の手法で便利にご利用していただけるように努めています。
相続、特に不動産の相続登記に関してお困りの方はどうぞお気軽に一度ご相談下さい。
相続に果敢に挑戦している司法書士がお困りの皆さまをお待ちしております。
お気軽にご連絡下さい。
〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内三丁目15番3号 TCF丸の内ビル6階
名古屋市地下鉄桜通線又は名城線「久屋大通駅」:桜通線側の1番出口から徒歩5分
名古屋市地下鉄桜通線又は鶴舞線「丸の内駅」 :桜通線側の4番出口から徒歩6分
9:00~19:00
土・日・祝(ただし、事前予約により相談可能)
※フォームからのお問合せは24時間受付しております。