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相続した実家に「住む」か「貸す」か?後悔しない選び方を名古屋の司法書士が解説

相続に関する気になるトピックや情報を配信しています。ご興味のある記事がございましたら、ご参考にしてみて下さい。

相続した実家、「売りたくはないけれど、どうしよう」と迷っていませんか

手放さずに活かす道は、大きく「住む」と「貸す」の2つ。決め手は費用・立地・ご家族の暮らしです。

「親から名古屋の実家を相続したけれど、思い出があって売る気にはなれない」「かといって、このまま空き家にしておいていいのだろうか」。当事務所には、このような入口の段階のご相談が数多く寄せられます。

総務省の住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家は約900万戸と過去最多を更新しました。空き家は持っているだけで固定資産税や管理の手間がかかり続けるうえ、放置が続いて自治体から「管理不全空家」の勧告を受けると、固定資産税の軽減(住宅用地の特例)が外れて税負担が跳ね上がるおそれもあります。つまり「何も決めない」ことにも、実はコストがかかる時代です。

 

とはいえ、選択肢は売却だけではありません。実家を手放さずに活かす方法として代表的なのが、ご自身やご家族が「住む」こと、そして人に「貸す」ことです。今回は、司法書士事務所と不動産事務所を併設する名古屋の当事務所の立場から、この2つの活かし方の進め方と、選ぶ際の判断ポイントをご紹介します。

1 空き家を相続したら|「住む」「貸す」2つの活かし方

どちらを選ぶにも、出発点は名義の確認(相続登記)と建物の現状把握です。

結論からお伝えすると、実家を手放したくない方が現実的に選べるのは、「自分や家族が住む」か「人に貸す」かの2つです。どちらが向いているかは、建物の状態と立地、かけられる費用、そしてご家族の今後の暮らし方によって決まります。

判断の物差しは3つあります。1つ目は「距離」です。今のお勤め先やお子さまの学校から通える場所か。名古屋市内でも、地下鉄沿線の実家と郊外の実家とでは答えが変わります。2つ目は「建物の状態」です。築年数、雨漏りや傾きの有無、水回りの傷み具合によって、住むにも貸すにも必要な費用が大きく違ってきます。3つ目は「収入を求めるかどうか」です。賃料という収入を得たいのか、家が維持できれば十分なのか。この3つを整理するだけで、方向性はかなり絞れます。

迷う場合には、建物の劣化状況を専門家が調べる建物状況調査(インスペクション)を利用するのも有効です。雨漏りや構造部分の傷みの有無が客観的にわかれば、「この状態なら住める」「貸すにはここまでの修繕が必要」という判断が、感覚ではなく事実に基づいてできるようになります。調査費用は建物の規模にもよりますが数万円台からが目安で、後々の大きな出費を防ぐ保険と考えれば決して高くありません。

 

なお、どちらを選ぶ場合でも、その前提として亡くなった方から相続人への名義変更(相続登記)が必要です。相続登記は2024年4月から義務化されており、不動産の取得を知った日から原則3年以内(義務化前に発生した相続は原則2027年3月31日まで)に申請しないと、10万円以下の過料の対象になり得ます。名義が亡くなった方のままでは、リフォームローンの利用や賃貸契約の場面でも支障が出かねません。実家の今後を考え始めたら、まず登記名義の確認から始めてください。

1-1 自分や家族が住む

家賃も売却の決断もいらない、いちばん自然な活かし方。カギは耐震性と維持費の見極めです。

1つ目は、相続した実家にご自身やご家族が住む方法です。現在賃貸にお住まいなら、住み替えることで毎月の家賃負担がなくなり、思い出の家をそのまま暮らしの中で残せます。間取りや内装を自分好みにリフォームすれば、新築を買うより費用を抑えて理想の住まいに近づけることも可能です。

もっとも、住み替えには冷静な見極めも必要です。まず確認したいのが耐震性です。1981年5月以前のいわゆる旧耐震基準で建てられた家は、住む前に耐震診断を受けることをおすすめします。名古屋市にも旧耐震の木造住宅を対象とした耐震診断・改修の支援制度がありますので、要件や受付状況は市の窓口でご確認ください。リフォームは、キッチン・浴室などの水回りに絞れば百数十万円程度から、全面的に行えば数百万円規模と幅がありますから、優先順位をつけて計画的に進めましょう。

「今すぐは住めないが、将来住むかもしれない」という場合は、空き家のまま維持する期間の負担を必ず数字で押さえておいてください。毎年の固定資産税に加え、火災保険料、水道光熱費の基本料金、庭木の剪定や草刈りの費用がかかります。家は人が住まなくなると換気や通水がされず、傷みが一気に進みます。いったん傷んでしまうと、いざ住もうとしたときに大がかりな修繕が必要になりかねません。将来お子さまが通学や就職を機に住む、ご自身の住み替えまでのセカンドハウスとして週末に使うなど、「誰かが定期的に使う」状態を保つことが、建物の価値を守るいちばんの方法です。

たとえば、こんなケースを考えてみましょう。名古屋市内の地下鉄沿線にある実家を相続した50代の女性が、それまで月10万円の賃貸マンションにお住まいだったとします。水回りを中心に150万円のリフォームをして住み替えれば、単純計算で1年3か月ほどで家賃の負担額とリフォーム費用が釣り合い、それ以降は住居費が大きく軽くなります。実家が職場や生活圏から通える場所にあるなら、住み替えは家計の面でも十分に合理的な選択になり得るのです。

 

もう一つ知っておきたいのが、住んだ後の出口です。実際に住んでみて「やはり手放そう」となった場合、ご自身の居住用財産として売却すれば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例の適用を受けられる可能性があり、税負担の面で有利になることがあります(適用には細かな要件があります)。「とりあえず住んでみる」は、実は出口の選択肢を広げる合理的な一手でもあるのです。

1-2 賃貸物件として貸し出す

所有を続けながら賃料収入を得る方法。先行投資と契約の形を、数字で確かめてから。

2つ目は、実家を賃貸物件として貸し出す方法です。売らずに所有を続けながら、賃料という収入で固定資産税や維持費をまかない、さらに手残りを生むことも狙えます。

実は、名古屋の賃貸市場では、ファミリー世帯がゆとりをもって住める戸建て賃貸の供給は多くありません。持ち家にこだわらず賃貸で暮らし続けるご家庭が増えるなか、駅から近い、学区の評判が良いなどの条件がそろった戸建ては、貸家として十分な需要が見込めます。まずは周辺の賃料相場と入居需要を、不動産会社の話だけでなくご自身でも確かめてみてください。

ただし、親御さまが長く住まれた家をそのままの状態で貸せるケースはまれです。他人さまが賃料を払って住む以上、水回りを中心にリフォームという先行投資が必要になるのが通常です。ここで大切なのが収支の試算です。たとえば、リフォームに250万円かけて月8万円で貸せた場合、年間の賃料収入は96万円。固定資産税や管理会社への委託料、修繕の積立てを差し引くと手残りは年70万円前後となることが多く、初期投資の回収にはおおむね4年程度かかる計算です。空室が続けば回収はさらに遅れますし、立地に恵まれていればもっと良い数字もあり得ます。要は、提案をうのみにせず、何年で回収できるかをご自身の手で計算しておくことです。

また、貸した後の手間も忘れずに見込んでおきましょう。入居者の募集、家賃の集金や滞納への対応、設備が壊れたときの修理手配、退去時の精算など、賃貸経営には継続的な管理業務が伴います。お仕事をお持ちの方は管理会社への委託が現実的で、委託料は賃料の5パーセント前後が一つの目安です。あわせて、貸主として建物の安全性に責任を負う立場になりますので、火災保険や施設賠償責任保険の内容も貸し出す前に見直しておくと安心です。

契約の形にも工夫の余地があります。通常の賃貸借(普通借家契約)では、貸主の都合で契約を終わらせることは簡単ではありません。「数年後には子どもが住むかもしれない」という場合は、期間満了で確実に契約が終わる定期借家契約を選ぶことで、将来の選択肢を残したまま貸すことができます。また、借主が自分の負担で改修する代わりに賃料を抑えるDIY型賃貸借という貸し方もあり、初期投資を抑えたい貸主に向いています。

 

なお、国や自治体も空き家の活用を後押ししており、地域や物件によっては改修費等の補助制度を利用できることがあります。制度の有無や要件は年度によって変わりますので、貸し出す前に名古屋市など各自治体の窓口で確認しておきましょう。一方で、相続税対策として借入れでアパートを建てる話には慎重さが必要です。いくら節税になっても、収支が赤字の賃貸経営では本末転倒です。ここでも、ご自身で収支計画を立てるという原則は変わりません。

まとめ ~「住む」も「貸す」も、早く動くほど選択肢は広がります~

迷ったら、名義の確認と建物の現状把握から。売却も含めた比較は専門家と一緒に。

今回は、相続した実家を手放さずに活かす方法として、「自分や家族が住む」「賃貸物件として貸し出す」の2つをご紹介しました。

住むなら耐震性と維持費、貸すなら先行投資と契約の形。どちらの道でも、判断材料になるのは感覚ではなく数字です。そして、空き家のまま時間が経つほど建物は傷み、選べる道は狭くなっていきます。まずは相続登記で名義を確定させ、建物の状態と周辺の相場を把握することが、後悔しない選択への近道です。

 

名古屋市中区丸の内のごとう司法書士事務所は、不動産事務所(宅地建物取引士)を併設しており、相続登記から実家の活用・賃貸・売却のご相談までを一つの窓口でお手伝いしています。「住む・貸す・売る」を並べて比較したい、という段階からのご相談も大歓迎です。お客さまごとの事情に合わせたオーダーメイドのご提案を心がけておりますので、相続した実家の扱いに迷われたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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