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ごとう相続手続き相談センター
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最終更新:2026年11月5日(法令・運用は2026年11月時点の情報にもとづいています)
「中国籍の父が名古屋の自宅を残して亡くなった。法務局で『戸籍謄本を』と言われたが、中国に戸籍謄本はあるの?」「相続人の一人が中国に住んでいて、遺産分割協議書にどうやって署名してもらえばいい?」――中国籍の方が関係する相続のご相談は、名古屋でも年々増えています。
このページでは、名古屋で相続登記・渉外相続を多く手がける司法書士が、どの国の法律で相続人が決まるのか(準拠法)、2021年に施行された中国民法典「相続編」のポイント、戸籍の代わりになる「公証書」の集め方、中国在住の相続人の署名の集め方まで、はじめての方にもわかるようにご説明します。

目次
中国籍の方が亡くなった場合、「相続人は誰か」「相続分はいくらか」をどの国の法律で判断するのかを最初に決めなければなりません。これを「準拠法」といいます。
日本の「法の適用に関する通則法」36条は「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。被相続人が中国籍であれば、まず中国法が指定されます。
ところが、中国の国際私法にあたる「渉外民事関係法律適用法」(2011年4月1日施行)31条は、法定相続は被相続人の死亡時の常居所地の法律を適用し、不動産の法定相続は不動産所在地の法律を適用すると定めています。
通則法41条は、本国法(中国法)が「日本法によるべき」としている場合には日本法を適用すると定めており(これを「反致(はんち)」といいます)、結果として次のように整理されます。
| 財産・状況 | 適用される相続法 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本にある不動産 | 日本の民法 | 被相続人がどこに住んでいたかを問いません |
| 預貯金・株式などの動産(被相続人が日本に常居所) | 日本の民法 | 長く日本で暮らしていた方はこちら |
| 預貯金などの動産(被相続人が中国に常居所) | 中国民法典(相続編) | 中国在住のご両親が日本の口座を残した場合など |
| 遺言がある場合 | 遺言の方式・効力は別途判断 | 日本方式の遺言も、中国方式の遺言も有効になり得ます |
名古屋のご自宅など日本の不動産については、日本人の相続と同じく日本の民法で相続人・相続分が決まります。ただし「誰が子で、誰が配偶者か」を証明する書類は中国側で集めなければならない、というのが中国籍の相続の難しさです。
中国側の法律は何度か変わっており、亡くなった日によって確認すべき法律が異なります。古い名義のままの不動産(数次相続)では特に注意が必要です。

2021年1月1日、中華人民共和国民法典が施行され、1985年から続いた「継承法」は廃止されました。相続のルールは民法典の第六編「相続編」(1119条〜1163条)にまとめられています。日本法が適用される場面でも、中国在住の相続人の方は中国の常識で話し合いに臨まれることが多いため、違いを知っておくことが大切です。
| 順位 | 相続人 | 日本との違い |
|---|---|---|
| 第1順位 | 配偶者・子・父母 | 日本では配偶者は常に相続人、父母は子がいないときだけ。中国では配偶者・子・父母が同じ順位で均等に相続します |
| 第2順位 | 兄弟姉妹・祖父母・外祖父母(母方の祖父母) | 第1順位の相続人が一人もいないときに相続します |
同じ順位の相続人の相続分は原則として均等です(1130条)。例えば、配偶者・子2人・母が相続人なら4人で4分の1ずつです。ただし、生活が困難で労働能力のない相続人には配慮し、被相続人を主に扶養した人や同居していた人は多く、扶養できたのに扶養しなかった人は少なくすることができます。相続人全員の合意があれば不均等な分け方もできます。
民法典は自筆・代筆・印刷・録音録画・口頭・公証の6つの遺言方式を認めています(1134条〜1139条)。旧継承法にあった「公証遺言が最優先」というルールは廃止され、複数の遺言が矛盾する場合は最後の遺言が優先します(1142条)。印刷遺言・録音録画遺言は2人以上の証人が必要です。
日本の不動産には日本の民法が適用されるため、例えば「配偶者と子が相続人なら、日本法では配偶者2分の1・子2分の1」となり、中国在住の親(祖父母)は相続人になりません。中国側のご家族が「中国では親も相続人のはず」と考えて話し合いがこじれることがあります。どの法律で誰が相続人になるのかを、最初に書面で整理して共有することがトラブル防止の第一歩です。
日本人の相続では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をそろえて相続人を確定します。しかし中国には、家族関係を連続して記録し誰でも謄本を取れる「戸籍」制度がありません。中国で身分を管理する「居民戸口簿」や「居民身分証」は、それ1枚で相続関係を証明できる書類ではないのです。
そこで、中国の公証処(日本の公証役場にあたる機関)が発行する「公証書」を使います。相続で使う主な公証書は次のとおりです。
| 公証書の種類 | 証明する内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 親族関係公証書 | 被相続人の配偶者・子・父母などの親族関係 | 相続人の確定(最も重要) |
| 出生公証書 | 本人の出生日・父母 | 親子関係の証明 |
| 結婚(婚姻)公証書 | 婚姻の事実・日付 | 配偶者であることの証明 |
| 死亡公証書 | 死亡の事実・日付 | 被相続人が中国で亡くなった場合 |
| 声明書・委託書公証 | 相続人の意思表示・署名 | 遺産分割協議書への署名、代理権の付与 |
中国在住のご家族が、居民戸口簿・身分証と、公安局の派出所や婚姻登記機関などで取得した証明をそろえて公証処に申請し、作成してもらうのが一般的です。被相続人が日本で亡くなった場合、死亡の事実は日本の住民票の除票や死亡届の記載事項証明書で証明できますので、日本側の書類と中国側の公証書を組み合わせて相続関係を立証します。
中国は2023年11月7日に「外国公文書の認証を不要とする条約(アポスティーユ条約)」の締約国になりました。これにより、従来必要な場面があった領事認証の二度手間がなくなり、中国の公証書は中国外交部などのアポスティーユを付して日本で使えるようになっています。逆に、日本の書類を中国の公証処や銀行に提出する場合も、外務省のアポスティーユで足りるようになりました(提出先によって取扱いが異なることがあるため、事前確認は必要です)。
公証書はすべて中国語で作成されます。法務局や金融機関に提出する際は日本語の翻訳文を添付します。訳文の正確さは審査に直結しますので、相続手続きに慣れた翻訳が望ましいところです。当センターでは翻訳を含めてお引き受けしています。
2012年7月8日以前から日本に住んでいた外国籍の方については、法務省に閉鎖外国人登録原票の写しを請求できます。世帯構成や配偶者・父母の氏名などが記録されており、公証書とあわせて相続関係の立証に役立ちます。被相続人の記録は「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写し」として相続人が請求できます。

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務になりました(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象)。中国の公証書がそろわず期限が迫る場合は、「相続人申告登記」でひとまず義務を果たす方法もあります。

日本の相続登記では、遺産分割協議書に相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付します。しかし中国に住む相続人は日本の印鑑登録ができません。そこで、次のような方法で署名の真正を証明します。
書類の往復には郵送や現地とのやり取りが必要で、文言の不備があると最初からやり直しになります。協議書の内容を事前に固め、中国語の対訳とあわせてご家族に送ることで、一度で済むように進めるのが当センターの基本方針です。詳しくは「中国にいる家族の署名はどう集める?相続の署名公証を名古屋の司法書士が解説」もご覧ください。
※以下は、よくあるご相談をもとにした進め方の例です(実際の事案を特定するものではありません)。
日本側と中国側の役割分担や期間の目安など、状況別の進め方は「中国籍の方の相続|公証書の集め方と日本・中国の役割分担(ごとう司法書士事務所)」で詳しくご案内しています。

中国籍の方の相続登記は、通常の相続登記報酬に加えて、準拠法の調査・説明書の作成、公証書の取得サポート、翻訳の費用がかかります。必要な公証書の数や相続人の居住地によって幅がありますので、ご相談の際に書類の状況をお聞きしたうえで、事前にお見積りをお出しします。追加費用が発生する場合は必ず事前にご説明します。
当センターは名古屋市中区で、韓国・中国をはじめ外国籍の方の相続登記を多数取り扱ってきました。司法書士が準拠法の判断から法務局・金融機関との折衝まで一貫して担当し、宅地建物取引士として相続した不動産の売却・活用までワンストップでご相談いただけます。中国語の書類のやり取りもお任せください。
関連記事:「中国籍の方の相続の登記って何?公証書から申請まで名古屋の司法書士が解説」
中国籍の方の相続のご相談は初回無料です。
「中国の書類の集め方がわからない」「相続人が中国にいる」など、まずはお気軽にお話をお聞かせください。
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いいえ。日本にある不動産については、中国の国際私法が「不動産は所在地の法律による」と定めているため、日本の民法で相続人・相続分が決まります(反致)。ただし、相続人であることを証明する書類は中国の公証書で用意する必要があります。
2021年1月1日に民法典が施行され、継承法は廃止されました。主な変更点は、公証遺言を最優先とするルールがなくなり複数の遺言が矛盾するときは最後の遺言が優先されること、印刷遺言・録音録画遺言が認められたこと、遺産管理人の制度が設けられたことなどです。
日本の遺留分にあたる制度はありません。代わりに、労働能力がなく生活の糧のない相続人には必要な取り分を残さなければならないというルール(必留分)があります(民法典1141条)。
第1順位が配偶者・子・父母、第2順位が兄弟姉妹・祖父母・外祖父母です(民法典1127条)。第1順位の相続人が一人でもいれば第2順位は相続せず、同じ順位の相続分は原則として均等です。日本の不動産には日本民法が適用されるため、この順位がそのまま使われるのは、中国法が適用される財産(中国に常居所があった方の預金など)の場合です。
はい。中国民法典では配偶者・子・父母が第1順位で均等に相続します。ただし、日本の不動産や日本に常居所があった方の相続には日本の民法が適用されるため、子がいれば親は相続人になりません。中国側のご家族との認識の違いが生じやすい点です。
中国国内の財産の手続きは現地の公証処や不動産登記機関で行う必要があり、当センターが直接代理することはできませんが、日本側で必要になる書類(日本の戸籍・死亡の証明へのアポスティーユなど)の準備や、現地の専門家との連携についてご案内しています。
「相続人申告登記」を先に行うことで、相続登記の義務を暫定的に果たすことができます。その後、書類がそろい次第、正式な相続登記を申請します。期限が迫っている場合は早めにご相談ください。
※本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、中国法の内容や法務局・金融機関の運用は事案により異なる場合があります。具体的なご事情については、お気軽にご相談ください。
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